SEL50F25Gのレビューと作例 FE 50mm F2.5 G

SEL55F18Z(Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA)のほうが好き。

SEL50F25G(FE 50mm F2.5 G)のレビュー記事の冒頭でこういうのもなんですが、それが私の結論です。

4月に予約して購入したSEL50F25G。発売日に手元に届いてから1ヶ月半、α7Cとα7IIIにつけていろいろと撮り歩いてみました。

その結論が冒頭です。SEL55F18Zのほうが好き。

レンズ沼に堕ちてからというもの、数多くのEマウントレンズを使ってきましたが、こんなレンズも初めてです。無味乾燥というかフラットというか。うーん、悪くはない。決して悪くはないけれど、良くもない? うーん、味気ない? 普通?

SEL50F25Gは決して悪いレンズではありません。
けれど「SEL55F18Z」というフルサイズEマウントの神レンズが、私にとってSEL50F25Gを微妙なレンズにしてしまっているんですね。

「もしSEL50F25Gを一度手放したとして、また買うか?」

そう問われたら、私はきっと「もう買わない」と答えます。
SEL55F18Zが手元にあれば「正直いらなかった」。そう思っています。

この記事では、SEL50F25Gを発売日から1ヶ月半ほど使ってみた感想と、多くの人が比較対象とするであろうSEL55F18Zとの違いについて、そして私なりにこのレンズを買ったほうがいい人、買わないほうがいい人、について書いてみたいと思います。

SEL50F25Gを買うか買わないかでお悩みの方の参考になれば幸いです。

SEL50F25G(FE 50mm F2.5 G)

名称 FE 50mm F2.5 G
型名 SEL50F25G
開放絞り F2.5
最小絞り F22
最短撮影距離 0.35m(AF時)
0.31m(MF時)
フィルター径 49mm
手ブレ補正 なし
サイズ 68 x 45
重さ 174g
実売価格 65,000~70,000円
購入 Amazon / 楽天 / マップカメラ(楽天市場店)
公式HP SEL50F25G | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー

SEL50F25Gを1ヶ月半使ってみた感想

小さくて軽いは正義。
SEL50F25Gの結論はそれにつきます。

α7CにSEL50F25Gを装着してもこのコンパクトさ。
カメラとレンズをのせても、手のひらに余裕で収まります。

片手でカメラを持ってシャッターが切れる。
これがフルサイズセンサーのカメラだというから驚きです。

まるでコンパクトデジカメのような気楽さで、α7CとSEL50F25Gの組み合わせは運用できます。

でも、それだけ。

肝心の画質についての感想は「普通」。

誤解しないでほしいのですが、フルサイズセンサーのカメラとレンズですから画質は良いんです。良いに決まっています。

私のいう「画質」とは、「レンズの魅力」になるような「クセ」が何もないということなんです。そのレンズならではの「画作り」というと伝わるでしょうか。SEL50F25Gは端正で鮮明に写ります。でも、それだけ。なにか心に「グッ」とくるものを感じないんです。

「グッ」がいったい何なのか。

私にはうまく言葉にできませんが、心に「グッ」とくるレンズについて語ることはできます。

SEL55F18Z。

フルサイズEマウントレンズにおいて、長く「神レンズ」として語り継がれるレンズです。

SEL50F25GとSEL55F18Zの比較

SEL50F25G(左)とSEL55F18Z(右)。

いずれもスペックと価格が似ているレンズのため、どちらのレンズを買ったらよいものか、悩まれている方も多いことでしょう。

私の結論としては、軽量コンパクトが必須でなければ、SEL55F18Zを買うのがオススメです。

SEL50F25Gを買ったことで、SEL55F18Zの素晴らしさに気づくという皮肉。

実は私、過去にSEL55F18Zを手放して、もう一度買い戻した、という経緯があります。

Eマウントの神レンズSEL55F18Zのレビュー Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

いろんなレンズを試したものの、SEL55F18Zの写りがどうしても忘れられなかったんですね。

SEL55F18Zは、SEL50F25Gと比べるとレンズサイズは大きく重いです。レンズ鏡筒にはフォーカスホールドボタンや絞りリング、クリック切り換えスイッチがなく、開放F値の操作はボディ側でしかできません。50mmと比べると55mmはたった5mmの違いなのに、中望遠のような印象を受ける狭さです。そして人によっては致命的になるであろう「寄れなさ」。

SEL55F18Zの最短撮影距離は50cm。レストランで食事を撮るには、腕を精一杯伸ばすか、椅子から立ち上がらなければなりません。そうまでしても被写体が小さくしか映らないのが微妙です。ちなみにSEL50F25Gの最短撮影距離は35cmです。

SEL55F18Zは開放F値がF1.8で、SEL50F25GのF2.5よりは明るくボケやすいレンズです。しかしF1.8とF2.5はいうほど大きな差にはならないものです。誤差程度、はさすがに言いすぎですが、劇的に変わるような違いではありませんでした。

スペック勝負であれば、SEL55F18ZよりもSEL50F25Gのほうが優れたレンズといえます。

しかし「写り」はまったく違います。
SEL55F18Zの写真には「ハッ!」としたり心に「グッ!」とくる何かがあります。色気というか艶というか。適当に撮っただけの写真が妙にドラマチックに思えます。心に響く何かがあるんですね。

さすがカール・ツァイス、といえるほどカール・ツァイスに詳しいわけではありませんが、それでも他の有象無象のレンズとはSEL55F18Zの写りが違うことは、素人目で見てもハッキリとわかります。

それに対してSEL50F25Gは非常に優等生なレンズです。最新の設計ですから画質は素晴らしいです。だけど「キレイだなー」で終わりです。それ以上でもそれ以下でもなく、ただ、きれい。

α7CとSEL50F25Gのコンパクトな組み合わせで出かけるとき、いつも心に一点のシミのようなものを感じています。

「この組み合わせはコンパクトで持ち運びやすいけど、もしSEL55F18Zで撮っていたらどうなったんだろう?」。

小型軽量というSEL50F25Gのメリットを凌駕するほど写りが違うんですね。

もちろん感じ方には個人差があります。SEL50F25Gの画質にドラマを感じる人もいるかもしれません。もし私がSEL55F18Zを所有してなかったとしたら、SEL50F25Gの写りに感動していた可能性はあります。

しかし現実は残酷です。それはSEL50F25Gのレビュー記事にも関わらずこうしてSEL55F18Zの素晴らしさを熱く語ってしまうほどに残酷です。

これはもはや恋のようなものなのでしょう。
特別に優しくもなく気もきかないけれど、ほかの誰にも負けない魅力がある人。そして、いつも優しくて気もきくけれど、自分だけの魅力が何もない人。どちらを選ぶか、という話しに近いものがあります。

SEL55F18Zが無い世界で、SEL50F25Gに出会っていたなら……。

SEL50F25Gを買ったほうがいい人

以上をふまえて、私なりにSEL50F25Gを買ったほうがいい人、オススメできそうな人を考えてみました。

  • α7Cを使っている人
  • カメラバッグじゃないカバンに入れて持ち運ぶ人
  • レンズひとつで撮り歩きたい人

SEL50F25Gはα7Cというコンパクトをウリにしたもの同士の組み合わせで真価を発揮します。このコンパクトな組み合わせは、カメラバッグではないカバンの「ちょっとした隙間」にも収まります。

私はHAKUBAのウレタンフォームの巾着袋にSEL50F25Gとα7Cの組み合わせを入れて、仕事用のカバンで持ち運んでいます。カメラは持ち運ばなければ意味がありません。持ち運びを容易にしてシャッターチャンスを増やしてくれるという意味で、SEL50F25Gとα7Cの組み合わせは強くオススメできます。

SEL50F25Gをα7IIIに装着したところ。α7IIIにつけても十分コンパクトですが、やはり軍艦部分やグリップなどのゴツさがあるので、α7Cのときほどコンパクトさを感じません。やはりSEL50F25Gはα7Cで使うのが正解なんだと思います。

α7CとSEL50F25Gの相性がいいもうひとつの理由が「マニュアル撮影」です。

実はα7Cには他のα7シリーズにはある「前ダイヤル」がありません。すると何が困るか。マニュアル撮影時に撮影の3要素(絞り、シャッター速度、ISO感度)を同時にダイヤル操作できず、スムーズな撮影ができないんですね。

しかしSEL50F25Gにはレンズ鏡筒に「絞りリング」が備わっています。絞りの設定をレンズ側でやり、α7C側のダイヤルを「シャッター速度」と「ISO感度」に割り当てることで、マニュアル撮影のやりやすさが他のα7シリーズと遜色ないものになります。
鏡筒に絞りリングのないSEL55F18Zではできないことです。

さらに、レンズひとつで何でも撮りたい人もSEL50F25Gが向いています。

SEL50F25Gは、35cmという最短撮影距離が魅力です。レストランの食事を椅子に座ったまま撮れるのは本当に楽。悪目立ちせずにすむので助かっています。

50mmは標準レンズといわれるほど何でも撮りやすい画角です。何を撮っても被写体がハッキリしやすく、自分の足しだいで広角的にも望遠的にも撮ることができます。50mmは「作品」を撮りやすい画角だと個人的には感じています。

旅行のような「記録」目的に持っていくときは35mmレンズ1本のほうが万能感があります。しかし街をぶらついて適当に作品っぽいスナップ写真を撮りたいなら50mmレンズ1本のほうが良い写真が撮りやすいと感じています。フルサイズセンサーのカメラを使う人は、記録よりも作品っぽさを優先したい人が多そうですし、単なる記録ならスマホでもいいと思います。

広角レンズに比べると歪みがほぼ気にならなくなるのもだいたい50mmからですよね。広角レンズだと考えて撮らないと歪みのせいで写真が破綻しやすいですが、50mmなら何も考えずにとっても画になりやすいのが良いところです。

SEL50F25Gを買わないほうがいい人

私なりに思うSEL50F25Gを買わないほうがいい人は、以下のような人です。

  • とにかくボカしたい人
  • ポートレートを撮る人

「ボカしたい人」と「ポートレートを撮る人」は、ほぼ同じ人といえそうです。ポートレートでは背景を整理してモデルさんを目立たせるためにボケを多用します。モデルさんは激しく動くわけではありませんが、シャッター速度を少しでも上げられる明るいレンズを選ぶにこしたことはありません。ポートレートには開放F2.5のSEL50F25Gよりも、もっとふさわしいレンズがたくさんあります。似たような価格帯であればポートレートにはSEL85F18がオススメです。

SEL50F25Gの作例

最後に、私がα7C + SEL50F25Gで撮影した写真の作例をいくつか掲載しておきます。

すべてカメラ内現像のjpgではなく、Lightroomで一切調整せずにrawからストレート現像した写真です。もし色が薄く感じられる方がいらっしゃったとしたらそのためです。

F:2.5 SS:1/2000 ISO:100

F:2.5 SS:1/1600 ISO:100

F:2.5 SS:1/125 ISO:400

F:5.6 SS:1/250 ISO:100

F:5.6 SS:1/640 ISO:100

F:5.6 SS:1/500 ISO:100

F:2.5 SS:1/500 ISO:100

F:5.6 SS:1/250 ISO:100

F:2.5 SS:1/2000 ISO:100

F:2.5 SS:1/125 ISO:400

F:2.5 SS:1/125 ISO:1250

F:2.5 SS:1/125 ISO:1250

まとめ:軽量コンパクトを求める人のレンズ

結局のところSEL50F25Gは「軽くて小さい」と求める人のためのレンズです。カメラの携帯性を重要視する人向けといえます。このコンパクトさですからメーカーをそれを想定しているのでしょう。

カメラは持ち歩いてなんぼ。どんなに素晴らしい画を吐き出すレンズとカメラでも、重くて持ち歩かなくては本末転倒。そういう意味でSEL50F25Gの存在意義は十分にあります。

ただ、現状はボディがα7Cでないのであれば、いまいちSEL50F25Gの恩恵を受けにくいのかな、と。α7IIIでも恩恵がまったくないわけではないのですが、コンパクトさを追求しないのであれば無理にSEL50F25Gである必要がないように思います。個人的な感想にすぎませんが、画作りにそこまでの魅力があるわけではないですし。

個人的にはSEL50F25Gはα7Cの専用レンズかな、という気がしています。

最後に、SEL50F25Gのこの超絶かっこ悪いレンズフードについて愚痴を言いたい。なんでこんな変なカタチにしちゃったんでしょうね。牧場にあるミルク缶みたいなデザインです。プラスチックで高級感が皆無。安っぽさがにじみ出ていて好きになれません。

そもそもSEL50F25Gはレンズデザインが「やかましい」と感じます。小さな鏡筒にフォーカスリングと絞りリング、そしてフォーカスボタンを備えたのですから、やかましいデザインになるのは仕方のないことです。しかしそこに加えてこのレンズフード。もうやかましいしなんだか汚ならしくて…こんなところもSEL50F25Gをいまいち好きになれない理由かもしれません。機能美といえなくも……いや、やっぱりこのデザインは好きになれそうにありません。

私はこの「SEL50F25Gのレンズデザインがやかましい問題」を解決すべくETSUMIのメタルインナーフード 49mmを付けることにしました。

SEL55F18Zを神神神レンズにするレンズフード!ETSUMI メタルインナーフード 49mm E-6356

ETSUMIのメタルインナーフードは、純正レンズフードに比べるとかなり薄いです。四隅にケラレも出ませんし、SEL50F25Gのやかましさが多少は軽減されるのでオススメです。これでなんとか持ち歩いて人に見られても恥ずかしくない感じになりました。

私のように気になる方は、ぜひお試しになってみてください。

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