SIGMA 85mm F1.4 DG DNのレビューと作例 ポートレートに最適な単焦点レンズ

けっこう大きくて重たいよ。

まずはそれをお伝えすべきと思いました。

「85mm F1.4のレンズなのに、こんなに小さくて軽い!」

SIGMA 85mm F1.4 DG DNを紹介する記事を見ると、小さくて軽いことを伝える内容が多いですよね。

たしかにSONY純正のSEL85F14GMなど、ほかの85mm F1.4のレンズとSIGMA 85mm F1.4 DG DNを比べると圧倒的に小さいレンズといえます。

けれど、それはあくまで「同クラスの中望遠レンズ」と比べたらの話。多くのEマウントレンズの中では、SIGMA 85mm F1.4 DG DNはそこそこ大きい部類に入るレンズです。

そして私は、この重さ大きさを許容できるほどのメリットをSIGMA 85mm F1.4 DG DNに見いだせず、手放すかどうかを悩んでいます。

今回は、2020年8月27日の発売日にSIGMA 85mm F1.4 DG DNを予約購入し、約10ヶ月ほどα7IIIとα7Cで使ってみた感想を書いてみます。

難点が多めのレビューになってしまいましたが、ひとつの意見として参考になれば幸いです。

SIGMA 85mm F1.4 DG DN

2020年8月27日にSIGMAから発売された中望遠レンズ「SIGMA 85mm F1.4 DG DN」。

このレンズの主なスペックは以下のとおりです。

製品名 SIGMA 85mm F1.4 DG DN
重さ 630g
フィルター径 77mm
開放F値 F1.4
最小絞り F16
最短撮影距離 85cm
絞り羽根枚数 11枚
防塵防滴
機能性 絞りリング、AFLボタン
価格 132,000円(税込)
購入 Amazon / 楽天 / マップカメラ(楽天市場店)
公式HP 85mm F1.4 DG DN | Art | レンズ | SIGMA | 株式会社シグマ

このレンズを購入した理由は、85mm F1.4を試してみたかったから。SIGMA 85mm F1.4 DG DNと入れ替えで売却したSONY純正のSEL85F18がスナップで大活躍していたので、F1.4のレンズならさらに楽しくなりそうだと思ったんですね。

85mm F1.4はかなりボケる

中望遠の85mmで開放F1.4のレンズですから、ボケの量はかなりのものです。どんなところでも被写体と背景を明確に分離することができます。

しかし85mm F1.4であれば、ほかのレンズでも同様のことがいえます。SIGMA 85mm F1.4 DG DNならではといえるのが、ピント面のシャープさ。おどろくほど精細でキリッとした描写は感動ものです。

ピント面のシャープさと85mm F1.4というスペックのおかげで、背景と被写体に距離がない場合でも、ピント面が写真から飛び出すような立体的な写真が撮れます。

この特徴が最大限に活かせるのはやはりポートレートです。実際、SIGMA 85mm F1.4 DG DNで撮影したポートレートは、被写体が浮き上がってくる3D感があり、ウハウハになれます。

85mm F1.4で、ピント面がシャープ。
この特徴が必要な人は、SIGMA 85mm F1.4 DG DNを選んで間違いないと思います。

難点:大きくて重い

冒頭でも述べたのですが、SIGMA 85mm F1.4 DG DNは実は「重い」です。カメラ系メディアが「軽い! コンパクト!」と評価していましたが、それは「これまでの85mm F1.4のレンズ」と比べた場合の話。あくまで過去との相対比較によるものなんです。最初にSIGMA 85mm F1.4 DG DNを手にしたときは「重っ!?」ってなりました。

参考例として、バカ売れしたので所有されている方も多いであろうSONY フルサイズEマウントの小三元ズームレンズ「SEL24105G(右)」とSIGMA 85mm F1.4 DG DN(左)を比較してみます。

SEL24105Gを使ったことのある方はわかると思いますが、けっこう重たくて大きいレンズなんですよね。カメラに付けて撮影していると腕が疲れます。

そのSEL24105GとSIGMA 85mm F1.4 DG DNは重さが33gしか違いません。SEL24105Gの重さが663gで、SIGMA 85mm F1.4 DG DNは630g。ほぼ同じくらいの重さです。

さらにSIGMA 85mm F1.4 DG DNの大きさを強調してしまうのが「レンズフード」。

α7Cにレンズフードを付けたSIGMA 85mm F1.4 DG DNを装着するとこうなります。

超でかい……「コンパクトなレンズ」とはいったい……。

α7IIIとSIGMA 85mm F1.4 DG DNの組み合わせ。
α7Cよりはα7IIIのほうがバランスがよくなりますが、それでもレンズが大きすぎるのは変わりません。

実用を考えるとレンズフードが大きくなるのは仕方ないのかもしれませんが、スナップで使うにはちょっと恥ずかしい大きさです。

レンズフードを付けないとこんな感じになります。

α7Cだとそれでもまだレンズが大きく感じますが、

α7IIIだとちょうど良いサイズ感です。

ちなみにレンズフードは逆付けできますが、あまりにも巨大でカメラバッグにまともに入らなくる可能性があります。

私は愛用しているカメラバッグ「PeakDesign エブリデイスリング」にレンズフードを逆付けしたSIGMA 85mm F1.4 DG DNが収まりきれなくて途方に暮れました。
このレンズを持ち歩くならそれなりにカメラバッグに余裕が必要です。

難点:ボケや明るさが必要になるシーンが思ったよりない

これをSIGMA 85mm F1.4 DG DNのレビューに書くのはどうかとも思わなくもないですが、本レンズを検討中の方の参考になりそうなので書き残しておきます。

85mm F1.4のレンズを使ってみてわかったのですが、そこまでのボケや明るさが必要になるシーンってあまりなかったです。F1.8のSEL85F18の十分だったんだな、と。

ボケが必要になるシーンを考えてみると、まずひとつは背景と被写体の分離があります。やかましい背景と被写体を分離して、被写体を目立たせる目的ですね。ただ慣れてくると被写体と背景の分離は構図で対応できることが多いのかな、と。背景選びも上手になりますし、ボケで強引に背景と分離する必要性が私にはそんなにありませんでした。

もうひとつは写真表現としてのボケ。極端な例をいえば、イルミネーションを玉ボケだけで表現するような写真ですね。私はそういう抽象的な写真を撮らないので私にはこれも該当しなかったかな、と。

「夜は開放F1.4が大活躍!」と言いたいところですが、中望遠の開放F1.4をポートレート以外で夜に使うことがあまりありませんでした。広角ならともかく、中望遠で明るくても夜間撮影に積極的に使おうという気にはなかなかならないものです。

屋内は暗いとはいえ、そもそも85mmという画角は使いづらいですよね。よほど広い部屋のある家でもない限りは85mmを屋内で使うこともあまりありません。

SIGMA 85mm F1.4 DG DNの作例(40枚)

最後に、私がα7Cとα7IIIで撮影したSIGMA 85mm F1.4 DG DNの作例を掲載します。

すべてカメラ内現像のjpgではなく、Lightroomで一切調整せずにrawからストレート現像した写真です。もし色が薄く感じられる方がいらっしゃったとしたらそのためです。

F:1.4 SS:1/125 ISO:320

F:1.4 SS:1/125 ISO:250

F:2.2 SS:1/200 ISO:100

F:1.4 SS:1/125 ISO:1000

F:1.4 SS:1/15 ISO:6400

F:1.4 SS:1/8 ISO:6400

F:1.4 SS:1/50 ISO:6400

F:1.4 SS:1/8000 ISO:100

F:1.4 SS:1/8000 ISO:100

F:5.0 SS:1/125 ISO:125

F:1.4 SS:1/4000 ISO:100

F:1.4 SS:1/250 ISO:100

F:5.6 SS:1/800 ISO:100

F:1.4 SS:1/400 ISO:100

F:1.4 SS:1/8000 ISO:6400

F:1.4 SS:1/1600 ISO:100

F:8.0 SS:1/4000 ISO:400

F:2.5 SS:1/160 ISO:100

F:1.4 SS:1/4000 ISO:100

F:16 SS:0.5 ISO:100

F:1.4 SS:1/2500 ISO:100

F:16 SS:1/125 ISO:2000

F:14 SS:1/125 ISO:4000

F:1.4 SS:1/125 ISO:1600

F:1.4 SS:1/125 ISO:200

F:1.4 SS:1/125 ISO:100

F:16 SS:8秒 ISO:100

F:5.0 SS:1/1000 ISO:100

F:16 SS:1/320 ISO:100

F:1.4 SS:1/125 ISO:4000

F:1.4 SS:1/125 ISO:400

F:8.0 SS:1/30 ISO:6400

F:1.4 SS:1/125 ISO:500

F:1.4 SS:1/125 ISO:100

F:8.0 SS:1/125 ISO:1000

F:2.2 SS:1/125 ISO:100

F:5.6 SS:1/800 ISO:100

F:1.4 SS:1/125 ISO:500

F:1.4 SS:1/8000 ISO:100

F:1.4 SS:1/8000 ISO:100

結論:ポートレートを撮る人向けのレンズ

何を当たり前な、と思われる結論で申し訳ないのですが、本当にそのとおりなんだな、と。85mm F1.4でピント面がシャープなレンズ。SIGMA 85mm F1.4 DG DNはポートレートを撮る方には最高のレンズだと思います。

私がSIGMA 85mm F1.4 DG DNにスナップ的な活躍を期待してしまったのは、このレンズと入れ替えに売却したSEL85F18の存在があります。

SEL85F18は安いのに写りがよく、おまけに軽量コンパクトなレンズでした。重さは371g。SIGMA 85mm F1.4 DG DNと比べると半分ちょいくらいの重さです。

あまりに軽量でコンパクトなレンズだったので、わたしはスナップ撮りによく使っていたんです。85mmのスナップは被写体が明確になりやすくて面白いんですよね。

なのでSIGMA 85mm F1.4 DG DNを「軽量コンパクト」と誤解してそんな使い方を期待してしまったんです。重さをよく見ればわかることでした……完全に私のミスでした。

なのでSIGMA 85mm F1.4 DG DNはそもそも私向けのレンズではなかった、ということです。SIGMA 85mm F1.4 DG DNが悪いレンズではなくて、そこにミスマッチしたことが問題。想定ユーザーでない人間が使ってもメーカーもユーザーも不幸になるだけです。

この記事が、SIGMA 85mm F1.4 DG DNのミスマッチを防ぐ役割を果たせたなら幸いです。

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