ついに予約が開始されたSONYのフルサイズEマウントレンズ「SEL35F14GM」。
年末あたりから発売が噂されはじめ、正式に発表されたときは歓喜しました。ついに標準域にGMレンズが来るのかと。
SEL35F14GMこそが私にとって真の万能レンズになる――
そう直感し、予約が開始された2021年1月19日10時に速攻で予約購入しました。
そのお値段、187,110円なり(保険込み)。
安くない。まったく安くはないけれど、SEL24F14GMを使っていた私にはわかります。これは神レンズに違いないのです。
今回はSEL35F14GMの予約購入時点で私が考えていたこと感、じていたことをメモがてら書いてみます。
いつか書くのであろうSEL35F14GMのレンズレビューのときに答え合わせできたら面白いですね。
ちなみに私は写真のプロでもなければハイアマチュアでもない、ただのレンズ沼の住人です。
以下は素人の思い込みにすぎませんので、参考にされる場合はご注意ください。
SEL35F14GM(FE35mm F1.4GM)
というわけで、あらためてSEL35F14GMの仕様を確認してみましょう。
- 名称:FE35mm F1.4GM
- 形式名:SEL35F14GM
- 発売日:
2021年2月12日※発売日未定となりました - 焦点距離:35mm
- 開放絞り(F値):F1.4
- 最短撮影距離:27cm(オートフォーカス使用時)
- 最大撮影倍率:0.23倍
- フィルター径:67mm
- 質量:524g
レンズフードは丸形バヨネット式です。
SEL135F18GMのフードを短くしたようなカタチですね。個人的には花形フードよりはこちらのほうが好きだったりします。
信頼と実績のGMレンズ画質
まずは↑動画でSEL35F14GMの作例をご覧ください。
あまりの美しさに本当に驚かされます。
SEL35F14GMは、一昨年に発売されたSEL24F14GMに似たスペックのレンズといえます。
SEL24F14GMは「カメラグランプリ2019レンズ賞」にも輝いた神レンズ。
私もSEL24F14GMを所有していますが、とにかく写りが素晴らしいレンズです。
SEL24F14GM のレビューと作例 SONY FE 24mm F1.4
スナップから帰ってきて画像データをパソコンに取り込み、Lightroomで写真を眺めるときの感動といったらもう。惚れ惚れして毎回ため息がでてます。至福の時間。
私がSEL35F14GMに求めるのは、SEL24F14GMの画質をそのままに35mmになってくれればいいだけ。と、そう思っていたのですが、海外のレビューによればSEL35F14GMの画質はさらにトンデモナイことになっているそう。開放F1.4とF8の四隅の写り具合が変わらないのだとか。そんなことってあり得るんですか……さすがに話しを盛りすぎではないかと思いますが、期待で胸が張り裂けそうです。
私は普及機のα7IIIでSEL35F14GMを使いますが、α7RⅣやα7RIIIなどの高画素機じゃないともったいなくなっちゃいそうですね。
ちなみに私は、すでに35mmの単焦点レンズを持っています。
SONY純正レンズのSEL35F18Fですね。
SEL35F18F のレビューと作例 フルサイズの神レンズ SONY FE 35mm F1.8
このレンズはSEL35F14GMと入れ替えでドナドナする予定です。
正直、私の使い方であればSEL35F18Fでも十分ですが、さらなる万能さと高画質を求めてGMレンズにステップアップすることにしました。
35mmという万能な画角がさらに万能に
スナップ中心の私の使い方だと、35mmの明るい単焦点レンズというのは、大三元ズームレンズよりも万能なレンズです。
そのあたりは先述したSEL35F18Fのレンズレビューのときに書きましたが、とにかく私にとって35mmは本当に使いやすい画角なんですね。
さらに今回、SEL35F18Fでは1.8だったF値が、SEL35F14GMでは1.4になり、さらに明るくなったことで35mmの万能さが増しました。
単純にF値が上がることで暗所により強くなりますよね。ISO感度を上げずに夜スナップが楽しめますし、屋内でも気軽に撮れます。
そうそう、屋内の撮影って35mmが最適だと思うんです。24mmでも悪くはないのですが、被写体との距離感が近すぎてちょっと微妙です。50mmだと今度は被写体しか入らない、みたいなことが多いですよね。屋内における35mmの近すぎず遠すぎず加減は、本当に絶妙だと思います。
さらにボケですよね。F1.8とF1.4ってボケの質がかなり変わります。F1.8だとまだボケがやかましいことがありますよね。F1.4まであると要素を整理しやすくなります。とはいえスナップ中ってそんなにボケはいらないですけどね。それでも余力はあるにこしたことがありません。
というわけで、SEL35F14GMは、撮影場所を選ばずにどこでも撮れる最強のスナップ用レンズだと思います。
標準域の 35mm と 50mm をカバーできる
私がSEL35F14GMを発表と同時に迷いなく買う理由はこれが大きいです。
SEL35F14GMは、APS-Cクロップを使うことで35mmと50mm(正確には52.5mm)という「標準画角」を単焦点レンズ品質で使うことができる唯一のGMレンズです。
人によって、というか撮影スタイルによって35mmが標準という人もいれば、50mmが標準という人もいますよね。
SEL35F14GMはその両方の標準画角を、一度にあつかえる「標準レンズ」です。
もし仮に今後「SEL50F14GM」が発売されることがあったとしても、50mmレンズの場合はAPS-Cクロップすると75mm、つまり中望遠になってしまいます。標準 + 中望遠というわけで、標準(35mm) + 標準(50mm) をカバーするSEL35F14GMのほうがより標準レンズらしいレンズといえます。無論、50mmに最適化されたレンズと、クロップの50mmはレンズ性能が同じではありませんが、絵作りをするための「画角」という意味においては同じです。
クロップというと画素が気になる方もいらっしゃいますよね。たしかにAPS-Cクロップをすると画素は減ります。2400万画素のα7IIIの場合だと、だいたい1000万画素(3936×2624)くらいまで減ります。
しかしこれから普及するであろう4Kモニターの画素数は830万画素ですし、A4用紙を300dpiで印刷するのに必要な3508×2480よりも画素はまだ多く、余力があります。
たしかに8Kが一般的な時代がきた場合は、3,318万画素(7680×4320)が必要になりますから画素が足りません。そもそもα7IIIは2400万画素ですから、クロップしなかったとしても8K時代には対応できないんですね。
でもαシリーズ最新機種のα7S IIIは、画素がたったの1210万画素です。
到底8Kの時代には対応しきれないカメラなわけです。最新のカメラが8Kに対応していないということは?
そう、8Kが主流になるような時代は、まだまだ先のことです。
そんな先に備えてAPS-Cクロップを使わず封印しておくというのはもったいない話です。
APS-Cクロップをガンガン使って、SEL35F14GMを「35mmも50mmも使える万能標準レンズ」として使うのが良いと思います。
曖昧な情報ですが、α7IIIの後継機種とされる「α7Ⅳ」は、3000万画素をこえる画素センサーが搭載されるという噂です。そうなるとさらに気軽にクロップが使いやすくなりますね。
さらに、ちょっと強引ではありますが、35mmのレンズは超広角レンズ的なこともやりやすいレンズです。そう、Lightroommなどのソフトを使ったパノラマ合成です。
35mmは縦構図で写真を撮ると、ちょうどいい感じで超広角レンズのように空と地面を入れることができます。その状態のまま少しずつ横にずらして撮影し、家に帰ってパノラマ合成すると超広角レンズで撮影したような写真が出来上がります。
SEL24F14GMは広すぎた
神レンズとして弱点がないように思えたSEL24F14GM。
たしかに写りは最高なのですが、24mmという画角に使いにくさを覚えたのも事実です。
風景を撮れば、足元のモサモサは入るわ、空が広すぎるわ、そして被写体が真ん中にちょこんと写っているような状態です。被写体がとても主役とはいえない感じに……結局、SEL24F14GMを持っているにも関わらず、コンデジのGRIII(フルサイズ換算28mmのレンズが付いたカメラ)で風景撮影することが多いんですよね。24mmは広すぎるんです。
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXDに代表されるタムロン製ズームレンズの広角端が軒並み28mmなのは、実に合理的な判断なのだな、と思いますし、風景はやっぱり画角の調整がきくズームレンズのほうがいいですよね。
あと24mmを使うときは基本的に絞りたいシーンが多くなるもので、開放F値は1.4まではいらなかったかな、と。
夜間の屋外イベント、つまり祭りなどでは大活躍するはずなのですが、コロナ禍の昨今ではそのような機会もなく。
24mmはスナップで使うにはちょっと不審ですよね。いい感じの被写体を見つけたとき、かなり近寄らなければならず、傍から見たら完全に怪しい人です。それを私も理解しているため、お店の軒先などのものを撮るのをちょっと躊躇いがちになってしまいます。
つまりSEL24F14GMは、24mmのレンズとしては完璧なレンズですが、24mmという画角が私にとって思いのほか使いづらい画角だったんですね。
その点、SEL35F14GMは、SEL24F14GMよりは何にでも使いやすいのではないかと期待しています。
スナップ用途では24mmより35mmのほうが向いているのはそりゃそうだろう、という話しなんですけどね。
ちょっと大きくて重たい
SEL35F14GMの重さは524g。
SEL35F18Fの重さは280g。
同じSONY純正のフルサイズ対応35mmレンズですが、2倍以上の重さの差があります。
SEL35F14GMはSEL24F14GMとほぼ同じサイズと重さなので、SEL24F14GMの経験でお話すると、決して軽くはないです。
たしかにこれまでEマウントで唯一の35mm F1.4のレンズだったSEL35F14Zに比べると、100gくらいは軽いです。開放F1.4でこの質量はすごいことなのかもしれませんが、SEL35F18Fに比べるとサイズも重さも倍以上で、軽快とはいえません。
そしてSEL35F18Fは、無印のレンズにも関わらず、普通に画質が良いんですよね。これが困ったところ。単純にキレイな画質でいいのであれば、SEL35F18Fで十分すぎると思います。
SEL35F14GMとSEL35F18Fで、スナップに向いているのは間違いなくSEL35F18Fですよね。
書いてたらちょっと気の迷いが生じてきました。
でもその通りなんですよね……結局のところ、私はSEL24F14GMでGMレンズの画質に魅了されてしまったんです。GMレンズならではの艶のあるあのリッチな描写が好きなんですね。
スナップから帰ってLightroomを開いたときに、「うぉ、すごい!」と悦にひたるためだけに、より重くて大きいレンズを運ぶ覚悟と10万円以上の差額を払ってSEL35F14GMを買うということを認めなければなりません。
写真が好きでもなんでもない人からしたら、GMレンズと無印レンズの違いなんてどうでもいいし気づかないんですよね。何が写っているかがすべてで。
それがわかっていても尚、GMレンズを選んでしまうのが写真のプロと、沼の住人です。
値段が高すぎる
保険込みで187,110円。
高いですよね。α7IIIがもう一台買えますから。
それに加えて高級レンズなので保護フィルターも良いやつを買うわけです。この価格にもう1万円プラスされることになります。
沼歴が長くなると、金額の問題で買うか買わないかを迷ったときのために「言い訳」をたくさん用意しています。
「お金はいつでも稼げるけど、思い出は待ってくれない」
「迷うよりも早く買って撮ったほうが人生トータルで安い」
「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ」
などなど。
今回もこのような言い訳を駆使し、購入ボタンをポチるまで自分をうまく誘導しました。
……もうどうしようもないんです。
というわけで、SEL35F14GMを予約購入直後に思っていることをガガーッと書いてみました。
SEL35F14GMは高額商品ですし、初物に飛びつくのは賢いとはいえないのかもしれませんが、「標準域のGM」を使いたい気持ちにはかないませんでした。
そういえばSEL24F14GMのときは、かなりの人気で品薄になり、数ヶ月待ちになってましたよね。
今回も似たようなことが考えられますので、SEL35F14GMが欲しい人は、早く予約購入をしましょう。ズブズブ。
SEL35F14GM | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
追記:SEL35F14Zが大幅値下げ
SEL35F14GMを予約した私に無情なニュースが飛び込んできました。
SEL35F14GMと同じフルサイズEマウント 35mm F1.4レンズの「SEL35F14Z」の大幅な値下げが、2021年1月21日に行われました。その値下げ幅は、およそ7万円。信じられないほどの値下げです。
正直、これは私にとってはなんとも悩ましいことになりました。
SEL35F14Zといえば、名門カールツアイスのレンズです。
わたしもSEL55F18ZとSEL50F14Zを使っているのでカールツアイスレンズの素晴らしさはよく理解しています。
Eマウントの神レンズSEL55F18Zのレビュー Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
SEL50F14Zのレビュー SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA
発売から結構経つレンズですから、解像という意味ではSEL35F14GMに軍配が上がると思いますが、カールツアイスレンズって解像云々だけじゃなくてその空気感や雰囲気が最高なんですよね……SEL35F14GMよりもSEL35F14Zは100gほど重たいとはいえ、持ち歩けないほどではありませんし……。
正直、SEL35F14GMの予約をキャンセルしてSEL35F14Zを買うべきではないかと悩んでいます。
せめてSEL35F14GMが発売になってからSEL35F14Zを値下げしてほしかったですね……