カメラの防湿庫なんていらなかった……。
なぜこんなことになってしまったのでしょうか。
部屋の片隅に置いた防湿庫を見て、大きな後悔が押し寄せてきました。
湿気が多くカビと無縁ではいられない国、それが日本。レンズのカビ対策は万全にしておくにこしたことはありません。いざレンズにカビが生えてしまうと、そのレンズはもう終わり。カビをレンズから完全に除去することはできません。だから、レンズのカビ対策は万全にしましょう。そのためにはドライボックスより防湿庫でなければなりません!
・・・的なネット記事におどらされて防湿庫を買った結果がコレです。
とにかく邪魔くさい。大きい。存在感がすごい。
レンズ7本+カメラ1つを収納したドライボックスと比べるとこの差です。
黒い無骨な防湿庫が部屋に鎮座するストレス感といったらすごいものがあります。防湿庫をオススメする記事では、いかに除湿、防湿に優れているかを言及することはあっても、防湿庫本体がこんなにも醜く愛せないものだとは教えてくれませんでした。それでいてやることはドライボックスと同じ。湿度の管理方法が違うだけです。
世の中的には、
「防湿庫 > ドライボックス」
だと思いますが、個人的には、
「防湿庫 = ドライボックス」どころか、「ドライボックス > 防湿庫」。
防湿庫を置くぐらいなら、前回記事で紹介したキッチンボックス + モバイル電子式除湿剤を使った管理方法のほうが、はるかに優れていると感じています。
モバイルドライ MD-3のレビュー ドライボックスを防湿庫にした話
今後、私のように安易に防湿庫を買って後悔する人がでないように、以下、今回購入した防湿庫について書き残しておきます。
HAKUBA 電子防湿庫 E-ドライボックス 60リットル KED-60
今回、私が購入した防湿庫は「HAKUBA 電子防湿庫 E-ドライボックス 60リットル KED-60」。スチール製のどっしりとした防湿庫です。前面がガラス張りで、中に入れた機材が外から見えそうですが、見えません。(理由は後述)。
HAKUBAの電子防湿庫には、25L、40L、60L、85L、100L、128Lと、6サイズのバリエーションがあります。今回は60Lをチョイスしました。手持ちの機材や将来の拡張性を考えると、棚が3段にできて収納力のある60Lの容量が良いのかな、と思ったんです。いま思えばこの考え方がムダに大きな防湿庫を買う原因となったのかもしれません。
ちなみに60Lのサイズは、
外寸法 が W358×H590×D315
庫内寸法 :がW356×H550×D310
重さは12kgにも及びます。
サイズ感としては一人暮らし用の冷蔵庫を想像してもらえればよろしいかと。
あまり推奨はされませんが、棚板を調整すればカメラバッグごと防湿庫に入れることもできます。繰り返しますが、推奨はしません。
扉に取っ手はありません。取っ手のない冷蔵庫みたいな感じで開閉する、そう思っていただければよろしいかと。
カギが付属してくるので、子供がいる家庭では重宝しそうです。
防湿庫の除湿ユニットには大きく分けて「乾燥剤」を使った方式と、「ペルチェ」があります。このHAKUBAの防湿庫は「乾燥剤」を使った方式を採用しています。
動作音や振動はまったくありません。無音、無振動。寝室に置いてもまったく問題なありません。電気代も一月で30円ほどという省電力設計。
ただ、カビ対策に効果のある「光触媒」は搭載されていないので、防カビ剤は必須と考えたほうが良さそうです。
除湿ユニットに関しては特に問題がないのですが、乾燥剤方式はモバイル電子式除湿剤と同じ仕組み。この防湿庫は光触媒も搭載されていませんし、それならドライボックス(キッチンボックス) + モバイル電子式除湿剤を使った方法のほうが安上がりなわけで・・・。
この防湿庫は内部に照明が付いていません。なので庫内は常に真っ暗。せっかく前面がガラス張りなのだから内部を照らしてくれればいいのに・・・なので、この防湿庫を買われる人は、人感センサーのLED照明などを後付される方が多いようです。人感センサーがいらないのであれば、100円均一でもLEDライトは売っています。
あと、これは実際にやったわけではないのですが、庫内の様子から察するに、棚板を三段にしてしまうとカメラやレンズを天井や棚板にぶつけてキズができそうです。庫内の高さはありますが、棚板を三段にして余裕があるというわけではない感じです。
庫内にコンセントは付いていないので、カメラを充電しながら除湿する、といった使い方はできません。密封されている都合上、外から電源コードを伸ばしてくるわけにもいかないので、この防湿庫を買われる方は、その点は覚悟しなければなりません。
あと、驚いたのがこの防湿庫の梱包。箱がかなり大きくて間違ったサイズを買ってしまったのではないかと心配になったほど。
いざ開封してると、箱の中に箱、さらにその中に箱、さらに、箱、といった具合に、ロシアのマトリョーシカのような仕組みで梱包されていました。厳重にもほどがある。開封後は梱包資材の処分が地味に大変です。
冒頭に述べたように、私にはこの防湿庫が合いませんでした。どうにも愛せそうにありません。
しかし、ただ合わないだけであれば我慢して使っていたと思います。問題は「ドライボックス(キッチンボックス) + モバイル電子式除湿剤」の組み合わせと機能性の面で違いが見いだせなかったこと。除湿・防湿の性能に差が見いだせませんでした。むしろドライボックスのほうが小さい分だけ素早く除湿されていい感じです。
たしかに収納力は防湿庫のほうがあるのですが、そのおかげで防湿庫は図体が大きくて部屋の中で悪目立ちします。その点、ドライボックスはコンパクトなので押入れなどに収納しておくことも可能です。全面が透明なので、中に何が入っているかわかりやすいのも良いところです。
これから防湿庫を買われる方は、いま一度「本当に防湿庫がいるのか?」と考えてみてください。
ドライボックスの延長線上に防湿庫があると考えるのではなく、「乾燥剤の手間はあるけれど持ち運びできて手軽なドライボックス」と「乾燥剤の手間はないけど、邪魔くさい防湿庫」と比較するとよろしいかと。機材の量にもよりますが、大抵の方はドライボックスで十分なのではないでしょうか。
モバイルドライ MD-3のレビュー ドライボックスを防湿庫にした話
防湿庫を買われる前に、今一度↑の記事をご覧になってみてください。このセットで十分な方はきっといらっしゃると思います。
ネットの記事が勧めるまま闇雲に防湿庫を買って私のような失敗をしないように注意してください。