【レビュー】SEL1635GMの感想 FE 16-35 mm F2.8 GM

やっぱりGMレンズは別格です。
いろんなレンズを使ってきましたが、GMレンズだけは次元が違います。うまく言えないのですが、「殿堂入りしている感じ」というと伝わるでしょうか。

GMレンズを使っていて一番テンションが上がるのは、「撮影しているとき」ではなく「Lightroomで写真を開いたとき」です。

スゲー! マジでこんなに写っちゃうの!?
なんなの、この艶!艶!艶! 写真がぬるぬるしてる!
色ノリ良すぎ! 現像で特にやることないんだけどwww

GMレンズで撮影してきたデータをLightroomで見るたびにこの調子です。SEL1635GM(FE 16-35 mm F2.8 GM)を買って一年以上が経ちますが、未だにデータを見るたびに、画質に感動してニヤニヤしています。

「そうか、俺はこの素晴らしい画質を生み出すレンズを所有しているのか」
その事実だけで十分に楽しい。肝心の「写真の出来栄え」よりも、「おどろくほど素晴らしい写りをするレンズを所有していること」を楽しんでいる本末転倒な状態。でもいいんです。こんな楽しみ方ができるのもGMレンズならではというもの。フェラーリを所有しているからといって、みんながサーキットで走るわけではないのと同じことです。

今回はSEL1635GMを1年くらい使ってみた感想を正直に書きます。SEL1635GMはレンズとしては本当に素晴らしいですが、素人が使うにしてはフェラーリすぎるなぁ、と思うところがあります。超広角は誰でも使いこなせるものではない、と改めて思いました。この記事では、そのあたりを赤裸々に書いてみたいと思います。

やっぱりGMレンズの画質は素晴らしい

やっぱりGMレンズの写りは、ほかのレンズとはまったく違います。画質の良さが圧倒的に違うんですね。

レンズの「画質が良い」というと、一般的にはシャープで解像度が高いとか、色のりが良いことを示しますよね。けれど、私がここで伝えたい「画質の良さ」というのは、「肉眼と写真のギャップ」のこと。「肉眼で見た景色が、どのような写真データとなるのか」ということであり、これがもうGMレンズは本当に素晴らしいんです。

大袈裟に聞こえるかもしれませんが「現場で肉眼で見たとき」よりも「家のパソコンで撮影してきた写真を見たとき」のほうが、私は美しいと感じます。だから、もう、写真を撮っているときから、早く帰ってLightroomで写真を開きたくてワクワクしっぱなし。そしてLightroomで写真を開いては、「あぁ……イイッ!」と。写真を隅々まで眺め、ひとり悦にひたっては喜んでいます。

超広角のピーキーさにやられる

やっぱり超広角ってすごく難しいです。しっかり考えて撮らないと、マトモな写真にはなりません。ちょっとカメラのアングル角度がついただけで、盛大に写真が歪みます。

この記事のためにSEL1635GMの過去写真をふり返っていて気がつきました。ほとんどの写真が「望遠端の35mm」で撮ったものだったんです。16mmで撮った写真は、圧倒的に少なくて。35mm、準標準の画角は使いやすいですもんね……。

写真において超広角って、レーシングマシーンみたいなものですよね。使いこなせればカッコいい写真が撮れますが、そこに至るまでが険しすぎる。ふだんから「モノを見る目が超広角的な人」なんて、まずいませんよね。不動産屋さんをやっていて部屋を広く撮る必要があるとか、建築を撮るのが趣味みたいな人でなければ、超広角は必要ないかもしれません。

GMズームレンズとしては最軽量だけど

SEL1635GMの重さは680gと、GMズームレンズの中では最軽量のレンズです。しかし、680gは「軽い」とはいえません。個人的には「やや重」の部類に入ります。持ち歩いてスナップに使うには、ギリギリの重さです。

フィルター径が82mmというだけのことはあり、レンズサイズは大きめです。街中で使っていると「悪目立ちする」くらいの存在感があります。私はα7C + SEL1635GMを使っていて、「すごいカメラ使っているね」と声をかけられたことがあります。フルサイズでもっともコンパクトなカメラとの組み合わせだったのに……。SEL1635GMは、一般的に見て威圧を感じるには十分な大きさだった、ということなのでしょう。

値段が高い

GMレンズを買うなら、本来これは言ってはいけないことですよね。フェラーリを買う人が「この車は高すぎる!」とは言わないわけで。

けれどやっぱり趣味レベルで手を出すには値段が高すぎる、というのが本音です。レンズ本体で26万円。さすがにこの値段のレンズを買うなら、保険に入らないわけにはいかない! というわけで長期保証に入って+3万円。トータルで約30万円。高い。高すぎる。

SEL1635GMは中古品でも本体価格が23万円くらいするんですよね。それならいっそ新品にするかぁ、と思って買ったのですが、よく考えたら3万円の差って大きいですよね……中古品でも良かったのかもしれません。

さらにSEL1635GMのフィルター径は82mm。82mm径のフィルターの価格はめちゃくちゃ高いです。参考までに私が使っているプロテクトフィルターの「Marumi 82mm EXUSレンズプロテクト Mark2」の価格は約9,000円。

私はSEL1635GMの購入に合わせて82mmのNDフィルターやPLフィルターなども一緒に買ったのですが、フィルター類だけで数万円が飛んでいきました……。SEL1635GMを買うなら、このあたりの出費の覚悟が必要です。

結論:最高のレンズだけれど、必要かどうかはよく考えて

SEL1635GMは素晴らしいレンズです。
けれど素晴らしいことと、必要なことは必ずしも一致しません。

単純に「広く写したい」「パースを効かせたい」なら、TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXDでも十分だと思います。開放F値がF2.8まで必要なければ、最近発表されたSELP1635Gや、カールツァイス銘の超広角レンズのSEL1635Zでもいいでしょう。

ハッキリ言って「超広角が必要になるシーン」は限られています。一般的なカメラ趣味であれば、広角側は24mmまであれば十分です。

それでもSEL1635GMがどうしても必要な人は、「仕事で必要な人」、そして「走らせないフェラーリを買って所有することに喜びを感じられる人」です。他人にムダといわれようとも、そのオーバースペックさにうっとりできる人。そんな人はSEL1635GMを買って損はしません。趣味であればこそ、そういう楽しみ方もあって良いと思います。走らせないフェラーリを眺めながら、ワインを飲んで楽しむ人たちがいるくらいです。超美麗な写真を撮って、Lightroomで拡大してうっとりするためだけに、GMレンズを買ったっていいじゃないですか。

さぁ、SEL1635GMを買って、一緒に飾りましょう。

SEL1635GM | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー

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