ピークデザインの三脚をレビュー カーボン版とアルミ版の違いを比較 Peak Design Travel Tripod

「カーボンとアルミ、どっちも買って比較してみよう」

やっぱり最後にはこうなる運命なのでしょう。

Peak Design(ピークデザイン)から発売になったトラベル三脚「Travel Tripod(トラベルトライポッド)」。洗練されたデザインとコンパクトさが話題の三脚です。

私も他例にもれず、その三脚ならざる美しい見た目にやられまして。発売されたらTravel Tripodを買おうと心に決めていました。

そしていざ販売開始になったわけなのですが、ひとつ悩ましい問題に直面しました。

「カーボンとアルミ、どっちを買えばいいの?」

そう。多くの三脚がそうであるように、Peak DesignのTravel Tripodも「カーボン製(TT-CB-5-150-CF-1)」と「アルミニウム製(TT-CB-5-150-AL-1)」の2種類がラインナップされています。これが購入者の頭を悩ませます。

「トラベル三脚」の名の通り、持ち運びを考えるなら軽さと剛性を兼ね備えたカーボン一択といえます。カーボンのほうがアルミより軽いからです。
しかし、Peak DesignのTravel Tripodに限ってはアルミを選びたくなる理由が2つあります。

ひとつは価格。Amazonだとカーボンは9万円近くするのに対し、アルミは5万円くらい。半額、とまではいわないまでも、価格差が非常に大きいです。Peak Design Travel Tripodは安い三脚ではありませんから、「どうせ買うならカーボンを買っておくべきか?」という気持ちと、「アルミでも十分じゃないか?」という気持ちがせめぎ合います。

もうひとつの理由はデザイン。個人的には製品写真を見る限り、カーボンよりもアルミのスタイリッシュなツヤ消しのブラックがカッコイイなぁ、と思いまして。カーボンも独特のパターンデザインが嫌いではないものの、比較するとアルミのほうが個人的には好きかなぁ、と。

カーボンか?アルミか?
アルミなのか?カーボンなのか?
やっぱりカーボンか?アルミで十分なのか?

あぁ、いま振り返ると、しっかりと「沼」に陥るときの思考になっていました。かつてレンズでそれを経験して反省したはずなのに……

カメラの世界は一夫多妻制 – レンズ選びに悩んで「2つとも買っていらないほうは売ればいい」という思考は危険だという話

そもそも私は年間で3回ぐらいしか三脚を使わないんですけどね……。

この思考の終着点は決まっています。

「カーボン、アルミ、両方買って試してみればいい。そしていらないほうは売ればいい」

そして私の手元にカーボンとアルミ、両方のPeak Design Travel Tripodがやってきました。

経緯はともかくとして、実際にTravel Tripodを手にしてみると色んなことがわかりました。

結論から言ってしまうと、カーボンとアルミ両方のTravel Tripodを手にして比較した結果、Peak DesignのTravel Tripodは「見た目」や「所有欲」のような「感情」で選ぶのがいいと思いました。

カーボンもアルミも機能性はまったく同じです。
Travel Tripodを買う前に見ていたレビューでは、「カーボンのほうが剛性が〜」とか「アルミのほうが重くて安定性が〜」というレビューを見かけましたが、それらはほぼ誤差の範囲。
あえてカーボンとアルミ両方のTravel Tripodで比較すれば、そういった指摘は理解できます。わずかな違いではあれど、カーボンとアルミのTravel Tripodでは異なる点がいくつかあります。
しかし、もしマンフロットやジッジオなどの他社製の三脚も考慮に入れるのだとすれば、Travel Tripod同士で比較するのはあまり意味をなしません。アルミでもカーボンでも同じです。

そしてカーボンとアルミ、両方のTravel Tripodを試した結果、私はカーボンを手元に残すことに決めました。決め手は「所有欲」でした。
いざカーボンとアルミの両方を比べてみると、デザインの差はほとんどありませんでした。確かにつや消しブラックのアルミはカッコイイものの、カーボンもカッコイイな、と。ごく僅かな重さの違い以外に、スペック的な違いも実感できませんでした。

違いがほとんどない。だからこそ私にとってはこれがカーボンを選ぶ理由になります。どうせ買うのであれば、高いものを買ったほうが満足感がある。アルミを買って「妥協した」と思いながら所有し続けたくない、というわけです。。

カメラをちゃんとやっている人からは怒られそうな理由ですが、Peak Design Travel Tripodを買うということは、三脚かどうか以前に「買い物」であり、自分の所有物を増やすという決断です。であれば、自分が少しでも幸せになれると思うほうにお金を使いたいなぁ、と。

というわけで私はカーボンを選びましたが、これからカーボンかアルミかで眠れぬ夜を過ごされる方のために、Peak Design Travel Tripodのカーボンとアルミの比較レビューを書き残しておきたいと思います。
こういってはなんですが、きっとご覧になっても「見た目」以外の違いはわからないと思います。けれど、それが答え、ということになるのかもしれません。

Peak Design「Travel Tripod」カーボンとアルミの比較

外箱

Travel Tripodの外箱はカーボンもアルミも基本的には同じです。

箱に書かれている文字情報だけが異なります。
カーボンはCF、アルミはALと書かれています。

ソフトケース

Travel Tripodには持ち運び用のソフトタイプのキャリングケースが付属してきますが、こちらもカーボンとアルミ共通です。

次の記事で詳しく書くと思いますが(書きました)、このケースがとにかくピッタリサイズすぎて収納しにくいんです……。

ケースがまったく同じなので、この状態でシャッフルしてどちらが軽いカーボンか当ててみる実験をしてみました。

はっきり言って、この状態(しかも右利きの人間が左手で)で持ち上げてもまったく違いがわかりません。
でも左のほうがほんの少しだけ軽い気がしました。

・・・左はアルミでした。

利き腕で持っていればわかったかもしれませんが、重さの違いはその程度でしかないという好例になったかもしれません。。

三脚本体

箱やケースに違いはありませんでしたが、Travel Tripodの三脚本体にはわかりやすく見た目の違いがあります。

つや消し黒のほうがアルミ(↑写真左)、斜めにパターンが描かれているのがカーボン(↑写真右)です。

こうして比較してみると、カーボンのほうが明るい印象があり、軽さを連想させます。

一本、アルミのほうはつや消し黒の色のせいなのでしょう、カーボンと比較すると重量感があるように見えます。

カーボンは1.29kg、アルミは1.56kg。
違いはわずか0.27kgでしかないのに、見た目から連想する重さはまったく違うように見えるから不思議。

カーボンもアルミも、三脚パーツの取り外しに使う六角レンチ部分はまったく一緒。このパーツはおそらくアルミ製で、カーボンのほうもこのパーツはアルミ製になっています。

これは個体差でしかないのかもしれませんが、カーボンのほうが作りが粗い気がするんですよね。上写真をよく見ると、カーボンのほうは接着剤らしきものがはみ出ているのがわかります。アルミのほうはそんなことないんですけどね……。

高級な方が作りが粗いというのも面白い話なのですが。
詳しくは次回の記事で書こうと思っています。

このエレベータ部分、センターポールはアルミ製です。

当初はカーボンのほうはアルミ製ではなくカーボン製だったそうですが、剛性の問題でアルミ製に変更になったという経緯があります。

公式には性能が向上したということになっていますが、個人的には軽いミラーレスでしか使わないことがわかっているので、カーボンには剛性より軽さにこだわってほしかったなぁ、と思います。

どちらがカーボンでアルミかわかりますか?

正解は左がカーボンで右がアルミなのですが、ちょっと離れると見た目では判別できなくなります。

「たわみ」について

カーボンとアルミ、材質が違えば脚の「たわみ」の程度も異なるだろう。
そう思ってカーボンとアルミ、両方のたわみを調べてみました。

結論を言ってしまうと、素人目にはカーボンとアルミのたわみの違いはまったくわからず。
超厳密な比較をすれば違いはあるのでしょうけれど、肉眼で見てわかるような違いはありませんでした。

カーボンとアルミ、両方をたわみがわかりやすいように一番大きく開いて比較しています。違いがわかりますか?

実際にTravel Tripodにカメラ(a7III + TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD)を載せた状態で、カーボンとアルミで比較してみます。

まずは脚を開かない状態での比較。

こちらはカーボン。

こちらはアルミです。

両者ともに三脚の脚にたわみはまったく見られません。
この状態でたわむという記事を見たことがあったのですが……よほど重量のある機材だったということなのでしょうか。

次にTravel Tripodを開脚した状態で比較してみます。

こちらはカーボン。

さすがに開脚した状態だと脚がたわんでいるのがわかります。

こちらはアルミです。

カーボンとアルミ、いずれもたわんでいますが……どちらが大きくたわむか、ときかれれば、「まったくわかりません」としか答えようがありません。

まとめ

というわけで、Peak DesignのTravel Tripodのカーボンとアルミを比較してみました。

先述したようにカーボンかアルミを選ぶ基準は「感情」で選んだほうがいいと思います。見た目が好きか、嫌いか、そこがTravel Tripodを選ぶ際には一番大事です。

こういってはなんですが、そもそもデザインで選ばないのであれば、もっと安くて機能性に優れた三脚は他にいくらでもあります。Travel Tripodを選ぶ理由は「見た目がいいから」のはずです。

カーボンもアルミも価格差は大きいわりに、違いはほぼありません。誰でも体感できる違いは、見た目と、ほんのわずかな重さの違いだけです。標高が高い山に持っていくのであれば、そのくらいの違いでもこだわる必要はあるかもしれませんが、平地で暮らす私には誤差の範囲でしかありません。

カーボンとアルミ、異なる2つのTravel Tripodを比較した結論としては、両者の価格差は大きいものの、その価格差を埋めるだけの論理的な理由や根拠になりそうなものはありませんでした。
ゆえにTravel Tripodを選ぶ基準は、「好き」か「嫌い」かがすべて。最初からアルミが好きな人はアルミを選べばいいし、カーボンを選びたい人は、見た目や所有欲に数万円が払えるかどうか?焦点となります。

最後に、知らない方がいらっしゃると思うので書いておきますが、実はPeak DesignのTravel Tripodはデフォルトでは「雲台の交換」ができません。
雲台を交換するには別売りのユニバーサル ヘッド アダプターが必要となります。

私はこれを知らなかったために、後からアダプターだけを購入するハメになってしまいました……。

カーボンを選ぶにせよ、アルミを選ぶにせよ、雲台を換える必要のある方は、忘れずに購入するようにしてください。

追記:
Travel Tripodの比較でないレビューも書いてみましたので、Travel Tripodの購入を検討されている方は、そちらの記事も参考にしてみてください。

【酷評】Peak Designの三脚「Travel Tripod」の辛口レビュー

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