「Anker Nebulaシリーズで最も使いやすいモバイルプロジェクター」
これが私のAnker Nebula Apollo レビューの結論です。
機種が多すぎて選ぶのが困難なAnkerのモバイルプロジェクター製品群において、Nebula Apolloは本当に使いやすい機種です。
上位機種にすら搭載されていない機能(タッチパネル)を備え、単に見た目だけではない実用的な形状など、Nebula Apolloの使いやすさは群を抜いており、神がかっています。
最初にお伝えしておくと、私はAnkerのモバイルプロジェクターを買うのはNebula Apolloで3台目です。これまで「初代 Nebula Capsule」と「Nebula Capsule II(Nebula Capsule 2)」を所有していました(それぞれのレビュー記事は以下からどうぞ)。
Anker Nebula Capsule のレビュー ケーブルレスで映画が見れるモバイルプロジェクター
Anker Nebula Capsule II のレビューと比較
それぞれの機種を手放した経緯についても書いておくと、「初代Nebula Capsule」はNebula Capsule IIを買ったときに手放し、「Nebula Capsule II」は1ヶ月に数回程度しか使わなかったのでメルカリで売りました。日常生活で映画を見ることってそんなにないな、と。
そう思っていたところに昨今のコロナ騒動です。外出自粛で家で動画を見る機会が増えたため、それならやっぱりモバイルプロジェクターのお手軽ホームシアターが最高だよね、と。そんなわけでNebula Apolloを購入しました。気がつけば、はからずもこの一年間で3台のAnker Nebulaシリーズを試すことになりました。
今回は、Nebula Apolloの良いところや微妙なところ、メリット・デメリットについて、これまで購入して試した初代Nebula CapsuleとNebula Capsule IIと比較しながらレビューを書いてみたいと思います。
Anker Nebula Apolloの良いところ(メリット)
とにかく小さくて軽い!持ち運びに便利!
私が最もNebula Apolloを気に入っているところがココ。Nebula Apolloは初代Nebula Capsuleに負けないぐらい小さくて軽いです。四角いデザインのせいか、初代よりもコンパクトでスッキリして見えます。
その点、上位機種のNebula Capsule IIの大きさと重さといったら…商品写真で見ているとわかりにくいのですが、Nebula Capsule IIは大きくて重いんです。
性能を求めた末の仕方なさなのだと思いますが、テーブルの上に置くと圧迫感を感じるほどで、持ち運びやすいとは言い難いところがありました。
その点、Nebula Apolloは横幅と高さがiPhone(iPhone XS)以下というコンパクトさ。スマホサイズの持ち運べる映画館なんです。画像ではNebula Apolloのほうが大きく見えるかもしれませんが、それはNebula Apolloのほうが「本体の厚さ」があるためです。この画像に関わらず、なぜかNebula Apolloは写真だと実際のサイズより大きく見える気がします。なぜでしょうね。
これくらい小さいとNebula Apolloが日常生活で視界に入ってもうるさくありません。持ち運びもしやすくて最高です。
明るくて黒つぶれしないから映画に集中できる!
そんなコンパクトなサイズなのに「明るい」のがNebula Apolloの良いところ。Nebula Apolloは、Nebula Capsule IIより断然コンパクトサイズにも関わらず「200 ANSIルーメン」という同じ明るさを誇ります。
モバイルプロジェクターを使ったことのない方にとって明るさの重要性はピンとこないかもしれませんね。プロジェクターにとって明るさは最も重要な部分といって過言ではありません。
初代Nebula Capsuleは明るさが100 ANSIルーメンと、Nebula ApolloとNebula Capsule IIの半分以下。明るさが足りないと何が起こるか、それは映画を見ていて暗いシーンになると映像で何が起こっているか判別できなくなります。映像の暗い部分の濃淡が、明るさが足りないために表現できずに「黒つぶれ」という状態になってしまうんですね。すると黒つぶれが気になって映画の内容に集中できなくなります。集中できないだけならまだしも、最悪の場合は内容を把握できないことすらあります。
100ANSIルーメンだと部屋が真っ暗だったとしても、投影距離によっては黒つぶれが発生します。100インチぐらいの投影にはまず耐えられません。30〜40インチぐらいの投影でならば問題ない、という感じです。
この点、Nebula ApolloとNebula Capsule IIであれば、大画面で投影しても黒がつぶれてしまうことはありません。安心して映画の暗いシーンを迎えられる余裕があります。これが200ANSIルーメンによる恩恵です。
「四角い」から「天井シアター」に向いている!
Nebula Apolloは四角い形をしています。
この四角さの利点が理解できるのは、これまでAnkerのNebulaシリーズを使っていた人ならではといえるでしょう。
初代Nebula CapsuleとNebula Capsule IIは、円筒状のカタチをしています。デザイン的には面白いのですが、これが初代Nebula CapsuleとNebula Capsule IIの最大の弱点でもあります。
部屋の天井に映像を投影する「天井シアター」。
これをやろうとすると初代Nebula CapsuleとNebula Capsule IIは横にコロコロと転がっていってしまうんです。プロジェクター単体では天井投影ができないんです。ミニ三脚やモバイルスタンドなど、本体を固定するための器具が別途必要になります。これの準備が地味に面倒でした。
その点、Nebula Apolloの天井シアターは0秒で設置完了です。横向きにして置くだけ。それだけで天井シアターの出来上がり。これは他のNebulaシリーズにはないNebula Apolloだけの利点です。
タッチパネル(タッチパッド)で操作が楽!
これもNebula Apolloだけの利点になります。いま気がついたのですが、私がNebula Apolloを使って一番便利に感じているのはこのタッチパネルかもしれません。
Anker Nebulaシリーズの操作方法は3つあります。
ひとつは本体上にとりつけられたボタンで操作する方法、2つめは付属のリモコン、3つめはスマートフォンアプリ(Nebula Connect)です。
リモコン以外にプロジェクター本体やスマホでも操作できるのかー、と思われたかもしれませんが、実際はリモコン一択です。本体と専用スマホアプリは使い勝手がめちゃくちゃ悪いです。本体ボタンはスムーズに操作できずに連打することになりますし、専用スマホアプリは感度が悪すぎて話になりません。かなりイライラさせられます。唯一、リモコンだけはまともに動作するのですが、となるとリモコンは常に視聴環境の近くに置いておかなければならないわけで…初代Nebula CapsuleとNebula Capsule IIはこの問題に悩み続けました。
ところが、ところがですよ。Nebula Apolloだけは本体上にタッチパネル(タッチパッド)が搭載されました。上位機種のNebula Capsule IIにも搭載されていないのに。いったいなぜ?
理由はわかりませんが、とにかくこれが便利で。パソコンのトラックパッドを使うようにApolloを操作することができます。操作性が良いのでこれまで必須だったリモコンをApolloでは一度も使っていません。本体だけで十分事足ります。
先の天井シアターの話も含め、投影にあたり本体以外に必要となるものがない、という点において、Nebula Apolloは面倒くさがりな私にピッタリの機種でした。
連続再生時間が長い(4時間)!
Nebula Apolloは連続再生時間が4時間と長いのが特徴。これは初代Nebula Capsuleも同じです。
なのに上位機種のNebula Capsule IIの連続再生時間は3時間。3時間とはいうものの、それは理想的な環境で使った場合の話。気温などの条件で連続再生時間は変わります。私はNebula Capsule IIを購入したのが冬だったせいもあってか実、際は2時間ちょっとぐらいしかバッテリーが持ちませんでした。タイタニックやアルマゲドンのような3時間くらいある長編映画を充電なしで見れないんですね。
Nebula Apolloだと3時間ぐらいの映画であればなんとか充電せずに見れます。常にコンセントに接続しながら使うのであれば関係ないかもしれませんが、持ち運んで使えることがウリのモバイルプロジェクターにおいて、連続再生時間の長さは重要です。
抜群のコストパフォーマンス
Nebula Apolloはコストパフォーマンスに優れた機種です。
Amazonでは今日現在(2020/04/23)の価格でNebula Capsule IIは59,800円、初代Nebula Capsuleは32,999円。そしてNebula Apolloは39,999円で購入できます。
追記:
Nebula Apolloと初代Nebula Capsuleは値上げされ、Nebula Apolloは46,990円、初代Nebula Capsuleは39,999円になりました。
個人的にはこの価格設定はバグっていると感じます。Nebula ApolloはNebula Capsule IIと同じ価格、いや、それ以上でも不思議ではない機種です。
Nebula Capsule IIは確かにNebula Apolloよりも優れた点があります。それは解像度だったり、リモコンが全方向性だったり、搭載されたOSの使いやすさだったり。スピーカーもNebula Capsule IIのほうが高音質です。
しかし、解像度はNebula Apolloでも部屋で使うなら十分です。そもそもよほど広い部屋でもなければ、粗がわかるほど大きくは投影できません。
そして全指向性のリモコン。たしかに全指向性のリモコンは、本体にリモコンを向ける必要がないので便利です。しかし、そもそもNebula Apolloはリモコンじゃなくても操作性がよくて最高!と先ほど書きました。逆にいえば、Nebula Capsule IIは操作パネルの使い勝手が悪く、わざわざリモコンを使わなければならず面倒ともいえます。
搭載OSについても、私がいつも使うPrime Video、YouTube、Netflixは特別な設定をせずに使えるのでまったく問題がありません。
AbemaTVやTVerなどのアプリについては、ちょっと面倒な作業が必要になるものの、Nebula Apolloで見ることはできます。
追記:
Nebula Apolloで「AbemaTV」や「TVer」を見る方法について別記事で書きました。
Anker Nebula Apolloにアプリをインストールして「TVer」や「ABEMA」を見る方法
スピーカーについては最も意味のない比較で、私は大音量で楽しみたいのでイヤホン(AirPods Pro)をNebula ApolloにBluetooth接続して使っています。
上位機種のNebula Capsule IIと比較して大きく劣る点がないというのに、Nebula Apolloは本体が小さくて軽い、天井シアターのやりやすい四角い形状、操作しやすいタッチパネルなど利点が多いです。私にとってはNebula Capsule IIよりNebula Apolloのほうが上位機種に感じられます。
現状で値段がNebula Capsule IIのほうが高いのは、後述するNebula ApolloのデメリットをNebula Capsule IIが解消しているからでしょう。しかしそのデメリットも、ある人にとっては、というだけの話。すべての人にとってデメリットになりえるものではないです。
Anker Nebula Apolloの微妙なところ(デメリット)
完璧な商品などありません。それはNebula Apolloも例外ではなく。
ここからはNebula Apolloの微妙なところ、デメリットについて書いていきます。
充電がACアダプタのDC端子。モバイルバッテリーが使えない!
多分、これがNebula Apollo最大の欠点です。
Nebula Apolloは本体への給電/充電をDC端子を備えた充電専用のACアダプタで行います。MicroUSBでもUSB-Cでもありません。となると何が問題になるのか。そう、モバイルバッテリーで充電しながら投影することができないんです。
上位機種のNebula Capsule IIはUSB-Cだったんですよね。なのでモバイルバッテリーに接続して充電しながら使うことができました。モバイルバッテリーを持ち歩かなければならない点はデメリットではあるものの、Nebula Capsule IIの連続再生時間の短さはモバイルバッテリーで補うことができるんです。
ところがNebula ApolloはDC端子のため、モバイルバッテリーが使えず。
家で使うからいいや、という人は多そうですが、実際にモバイルプロジェクターを買ってみるといろんなところで投影したくなるもの。常にコンセントの近くで使うとは限りません。
まぁ、連続再生時間の4時間を一気に使うことは滅多にないでしょうけれど、いざという時を考えるとちょっと頼りないかもしれません。
マニュアルフォーカスはピント合わせが気になる
上位機種のNebula Capsule IIにはオートフォーカス、つまり自動で映像のピントを合わせてくれる機能が搭載されていました。これが本当に便利で。
Nebula Apolloにはオートフォーカスがありません。本体脇に備えられたダイヤルで自分でピント合わせをしなければならないんです。
プロジェクターは視聴中に頻繁に動かしたりするようなものではありませんから、見はじめるときに一度合わせてしまえば問題ないのでは?と思われる方がいらっしゃるでしょう。
たしかにそのとおりです。最初に合わせればいいんです。では、どうやって「ピントが合っている」のを確認しますか?
そう、マニュアルフォーカスの最大の弱点は、いまピントがバッチリ合っているかどうかを自分で判断しなければならないことにあります。
それなりの明るさと解像度とはいえNebula Apolloもモバイルプロジェクター。となると、100インチ以上の大画面投影では多少はぼやけたような映りになります。このとき、映像がぼやけているのが「プロジェクターの性能限界」なのか、「自分のピント合わせが微妙なのか」が判然としなくて。なので何度もピント合わせをしようと試みてしまうんです。細かいことが気になるタイプの人間にとって、これが地味に面倒な作業になります。
大画面投影をしなければ問題ないのですが、細かいことが気になる人には、マニュアルフォーカスとは相性が悪いのかな、と思います。
最大100インチは微妙。80インチが現実的な実用サイズ
Nebula Apolloは最大で100インチの投影が可能とうたっています。
けれど、私が試したところNebula Apolloでキレイに映像が見える実用的な最大サイズは80インチがギリギリという感じでした。
これは200インチを超えるサイズで投影しています。
サイズがわかりやすいように椅子を置いています。
これくらいの投影サイズだと、さすがに輪郭がボヤッとします。
この状況から少しずつ投影サイズを小さくしていって、映像的に許容できてキレイに見える最大サイズはどれくらいか?と限界を試していったところ、最終的には80インチぐらいが限界との結論に達しました。
なので私は、80インチサイズのスクリーンを購入して家で使っています。映像もキレイですし、部屋のサイズ的にもちょうどよかったと思います。
追記:スクリーンについては別記事で書きました。
【レビュー】80インチの吊り下げプロジェクタースクリーンで「おうち映画館」が完成した話
正直なところ、80インチでも稀に「階調つぶれ」が発生します。階調つぶれとは、プロジェクターの性能の限界を超えて投影してしまったため、人間の肌などの緩やかなグラデーション部分を表現しきれずに、波打つような表現になってしまうことです。80インチであれば許容範囲ですが、それ以上のサイズでは階調つぶれが顕著に見られました。
一応、Nebula ApolloはAmazonの商品ページでは最大100インチまでの投影に対応する、とうたってはいるんですけどね……まあ、家庭レベルであれば80インチあれば十分ではあるものの、100インチを超えるサイズで投影がしたい人は、Nebula Capsule IIをお選びになったほうが良いと思います。
「黒つぶれ」は今のところ気になったことはありません。ここは200ANSIルーメンの明るさの恩恵ですね。
Anker Nebula Apolloを初代Nebula CapsuleとNebula Capsule IIと比較しながらレビューしてみました。個人的には現行のNebulaシリーズで今のところ一番オススメできる機種はNebula Apolloであるといえます。
初代Nebula Capsuleに関してはスペックの割にNebula Apolloとそんなに大きく価格差がないので選ぶ理由がありません。円筒状の形でなければ死んでしまう人以外は、Nebula Apolloを購入したほうが幸せになれます。
Nebula Capsule IIは、コンセントにつないで据え置きで使うことが多い人、ちょっとでも画質や音質の良さを求めたい人に向いています。こういってはなんですが、そういう人はモバイルプロジェクターを買うよりも普通のプロジェクターを買ったほうが幸せになれる気はします。Ankerからも据え置きで安くてスペック抜群のプロジェクターが販売されていますので、そちらを検討されるのもよろしいかと思います。
あくまでモバイルプロジェクターであることをふまえた上で、一定の品質をクリアしつつ日常使いしやすさを備えたプロジェクター。Nebula Apolloはそんな素晴らしいプロジェクターです。
→ Anker Nebula Apollo の 評価・レビューを見る(Amazon)
最後に、もしNebula Apolloを購入される際は、一緒にミニ三脚を購入されることをオススメします。これがないと上下方向の投影位置の調整が面倒です。何かを本体下にはさみこむなどして角度をつけるハメになってしまいます。
Nebula Apolloには「JOBY ミニ三脚 マイクロトライポッド」というミニ三脚がオススメです。
私はNebula Capsule IIに使っていたマンフロットのミニ三脚も持っているのですが、ゴツすぎて小さくコンパクトなNebula Apolloには合いませんでした。マンフロットの三脚はNebula Capsule IIにはピッタリサイズだったんですけどね。Nebula Apolloで使うのであれば、こちらのJOBYのミニ三脚のほうがオススメです。