「凡人が最強営業マンに変わる」そんな魅力的な表題にひかれて本書を読んでみました。
真のニーズ
『お客が欲しいというものを、売ってはいけない』 と、私は言いました。なぜでしょうか?ズバリ、結論から言います。その理由は、「お客さんは自分自身が欲しいものを知らない」 から。
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放っておくと「ドリルが欲しい」と言ってしまいがちなお客さんに、いかにして「穴を開けたい」という本音を言ってもらうかがカギなのです。
マーケティングやセールス関連のビジネス書ではよく目にするポイントですね。
ドリルを売るのではなく「ドリルが欲しい」というお客さんの要望から真のニーズを汲み取るように意識するようにしましょう。
お客さんと同じ土俵に
売り手は当然のことながら、売ろうとしている商品についてのプロ。一方、お客さんはその商品について何も知らない素人であることがほとんどです。売り手は商品に対する豊富な知識を持っているのに、お客さんは何も知りません。つまり、売り手とお客は、同じ土俵に立ってはいないのです。これは言われてみれば当然のことなのですが、意外と見落としがちな点なのです。売り手はまず、このことに気づいてあげて欲しいのです。
これは意識していても難しいところだと思うんです。
自分の取り扱う製品やサービスが専門性が高いことをきちんと認識してできるだけ平易で簡単に説明したつもりが、後から振り返ってみたら前提知識を必要とした説明になってしまっていた。こんな失敗の経験はないでしょうか。
本書中では「中学生に説明するように」とありましたが、個人的には自分が思う簡単な説明の三割り増しぐらいを意識すると相手によく伝わるようになっている気がします。
商売の基本
かの松下幸之助氏も、「商売とは、お客さんの『困ったこと』を解消してあげて、お金をいただくもの」だと言っています。私の言う「お客さんは便益を買いに来ている」と同じこと。私は、特別なノウハウを語っているわけではないのです。すごく当たり前のことにすぎないのです。 経営の神様も言っていることなのに、驚くほど多くの人がこれを無視しています。
これをメモするというのも恥ずかしいことなのですが、本当に忘れがちなところなんですよね。
なまじ自分の製品やサービスに自信や愛着があると魅力を語ることばかり一生懸命になり、こんな基本中の基本ですら見落としてしまうようになってしまいます。
より良き未来を創るビジョンも大切ですが、まずは目先の困ったを解決できるかどうかを考えるようにしたいものです。
説得ではなく納得
バカを言っちゃいけません。お客さんは説得などされたくありませんよ。自分で納得して買いたいのです。
これも先述のように自分の製品やサービスに自信のある人が陥ってしまいがちなポイントです。
製品やサービスの魅力を並べ立てて気がついたら説得にかかってしまっていることは多いです。
あくまでお客さんの納得を得るために説明するのだということを肝に銘じて説得にならないように注意したいものです。
イメージの力を利用する
たとえば、「外壁を塗り替えようかな」と思っているお客がいるとしましょう。すると、「仮に、塗り終えてみた外壁をイメージしてみてください」と、お客に理想形を想起させる方法などもあります。いったん、想起してしまうと、人間というのは欲しくなってしまうのです。そうしたイメージ想起による心理効果を利用したりもします。
これも定番といえるポイントですが、忙しかったり集中力が低下するとこれを怠けてスペックで売りにかかろうとしてしまいがちなので気をつけたいところ。
「ジャパネットたかた」の売り方はまさにこの心理を利用した売り方をしていますよね。
あなたの商品を「ジャパネットたかた」が売るならなんというだろうか、と考えると良いのかもしれませんね。
人間関係の公式
あなたがお客さんとの間に『人間関係』を構築したければ、ちょっとしたコツがあるのです。前に、人間関係の方程式という公式のことをお話ししました。 【人間関係】=【人柄】×【接触頻度】 そうです。この公式です。
この公式の「接触頻度」が耳に痛い人は私だけではないと思いますが(苦笑)。
そうなんです、「接触頻度」を上げる方法というのは総じて面倒くさいのです。
このソーシャルメディア全盛の時代でも、つぶやきひとつ、メルマガひとつですら人は面倒くさくてやらないのです・・・そしてやっている人は着実に成果を出しているのです。
この背景って単に面倒なだけでなく「◯◯と思われたらどうしよう;;」という誤解を恐れる臆病さもありますよね。しかしそんな華奢なことを言っていては成功はおぼつきません。
「人柄」は操作不可能ですが、せめて自分の意思の及ぶ「接触頻度」ぐらいは上げる努力をしたいものです。
本書を一通り読んだ感想としては、表題からは想像できないくらい真っ当で堅実な営業本という印象でした。
「こんな当たり前のことがみんなできていない」という言い回しの基本的ポイントが多かったように感じました。
中盤から後半にかけて心理テクニック的なことも書かれていますが、やはりビジネスの前提がしっかりしてこそのテクニックなんですよね。
表題に過度な期待をして読むと失敗しそうですが、営業に携わる方は一読して損はない本だと思います。
結局のところ、基本を抑えた営業マン=最強営業マンということなのかもしれませんね。