アウトプットでインプットを断捨離 黄金のアウトプット術

誰もがスマホを持つ現代。

仕事、勉強、遊び、どんなジャンルの情報でも、手のひらサイズの端末から気軽に入手できるようになりました。

私たちが一日に得る情報量は「江戸時代を生きた人たちの一生分」にも及ぶそうです。

しかし残念なことに、処理すべき情報量が劇的に増えたにも関わらず、人間のスペックは江戸時代からさほど変わっていません。
それもそのはず、情報量が増えたのはここ数十年のこと。この状況に対応すべく進化を遂げた人間が生まれるのは、まだ先のお話なのです。
おかげで現代を生きる私は、日々おしよせてくる情報の処理が追いつかず息切れ気味。ときに息絶えてしまっていることすらあります。

さて、食生活の改善が「肥満」という新たな生活習慣病をもたらしたように、情報インフラの整備はインプット過多による「情報メタボ」という問題を生み出しつつあります。

必要以上の情報を得ることで、思考力を鈍らせ判断力を低下させてしまう情報メタボは、肥満による体型の変化のようなわかりやすさがなく、自覚しにくいのがタチの悪いところ。
病気のような深刻さを感じにくいわりに、情報メタボが私たちの人生に与える影響は決して小さくありません。あなたの悩みが一向に解決しないのは、インプット過多による情報メタボが原因なのかも。
情報メタボの状態から抜け出すには、いったいどうしたらよいのでしょうか。

その答えは「アウトプット」。
食べ過ぎたら運動してカロリーを消費するように、過剰なインプットは適切なアウトプットで調整することができます。

こういうと「なにもアウトプットしなくても、インプットを減らせばよいのではないか?」という声が聞こえてきそうです。
私もその意見には大いに賛成です。シンプル主義の私にとって減らすことは至高。情報源を取捨選択して無駄なインプットを減らしましょう!

……どの情報源を捨てればいいですか?

そう、情報は食事ほどわかりやすくはないのです。
カロリーや糖質のように、万人に共通する普遍的な基準がありません。

ある人にとって必要な情報が、ある人にとっては不要な情報、といったことが平気で起こります。ゆえに情報の要不要は自分の基準で見極めなければならないのです。

「心が『ときめかないもの』は捨てましょう」

大ヒットした近藤麻理恵さんの著書「人生がときめく片づけの魔法」では、モノを捨てる基準として「ときめき」を用いる方法が紹介されています。
心がときめかないものは捨てても後悔することはない、心がときめくものだけを残すというものです。

さっそく、こんまりメソッドを使って情報の取捨選択をしていきましょう。

自分と意見が合う人のブログやSNSは心がときめくので残します。

自分と意見が合わない人のブログやSNS、顧客からのクレームを運んでくるメールは、心がときめかないどころか荒んでくるので排除します。もう一切見ません。

これで随分スッキリしました。
心がときめくお気に入りの情報だけに囲まれた生活は最高です。

と、なるはずがありませんよね。
厄介なことに情報は自分の感覚で取捨選択するのがとても難しいのです。
情報は、自分にとって都合が悪い内容でも、必要な場合があります。むしろ都合の悪い情報のほうが有用なことが多いくらいです。
つまり情報は主観的な感情の好き嫌いで選ぶのではなく、できるだけ客観的な要不要を基準に選ばなければなりません。

では「客観的な要不要」はどう判断したらよいでしょう。

回りくどくなってしまいましたが、そのために「アウトプットすること」が必要になるのです。

結局のところインプット過多になっているということは、アウトプットが圧倒的に不足しているということ。
インプットした情報を他者の目に晒すことがないため、情報の重要度を判定できない状態になっているのです。

ビジネスを例に考えてみましょう。
ブログやSNSに情報をアウトプットすると、それを見たお客さんや同僚からのフィードバックが得られます。
賛同、否定、別意見、無反応。無反応も大事なフィードバックです。
アウトプットを繰り返していると、次第にお客さんや同僚がどんな情報に反応し、喜ぶかがわかるようになってきます。

どんな情報のアウトプットに、どのような反応があるかわかれば、どの情報をインプットする必要があるかがわかります。
この段階までくれば情報源の断捨離は難しくありません。アウトプットで得られたフィードバックを元に情報源を整理していきましょう。

このように、意識的なアウトプットは、より質の高いインプットをするためには必要不可欠なことなのです。

黄金のアウトプット術 インプットした情報を「お金」に変える

本書『黄金のアウトプット術 インプットした情報を「お金」に変える』を読んだ感想を書こうとしたのですが、自分の意見を書きはじめたら思いのほか筆が進んでしまい、気がつけば長文になってしまいました。

本書は、インプットばかりして情報メタボになってしまっている人にオススメの一冊です。

歯切れのよい断定調で語られるアウトプットの重要性を読み進めるうちに、「自分も早くアウトプットしなければ」という気持ちが沸き起こり、行動に駆り立てられます。

インプットの時代はもう終わっている。これからの時代は得た知識や情報を、カタチにできる者だけが生き残っていく。 お勉強はもう十分だ。さあ、思う存分、吐き出そう。

著者は、「やろうと思えば誰でもやれるアウトプットを誰もやっていない。徹底していない」と指摘し、アウトプットをすることは大衆から抜け出すことになるといいます。

私の体感でも、アウトプットを意識的にしている人はとても少なく感じます。たまに何か特別なことがあった時だけSNSでアウトプットする、という人がほとんど。
この状況をみていると、著者のいう意識的なアウトプットが、他者との差別化に繋がるというのは大いに納得できます。

時代が進めばアウトプットする人が増えていくことは明らかです。しかしそうなってからアウトプットし始めたのでは遅いのです。まだアウトプットが世間一般に浸透していない今だからこそ、意識的なアウトプットがその他大勢とあなたを分ける有効な手段になり得ます。

何を書いたらいいかわからない
反論されたらどうしよう
恥ずかしい

アウトプットに興味を持ちつつも、そんな気持ちからアウトプットを躊躇している方は、本書に背中を押してもらってはいかがでしょうか。

アウトプットの必要性を説きつつ、最後にインプットを勧めるというのも、おかしな話ではありますが。

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