普段あまり映画は見ないのですが、思わぬ幸運が重なって映画館で二本もの映画を見ることができたので感想などを書いてみます。
これこそ「邦画」。シン・ゴジラ
公開数日での評判の良さを受け「シン・ゴジラ」を見に映画館に行ってきました。結論としては「かなりの良作」といえる邦画だと思います。
エヴァンゲリオンの監督「庵野秀明」の脚本の素晴らしさに感動させられました。良くも悪くもエヴァンゲリオンの匂いはします。演出や構図の取り方などはエヴァンゲリオンそのものなシーンがいくつもあります。
庵野秀明が脚本ということで周囲もかなり意識はしたのでしょう。結果的にそれが良い方向に転がったようです。
キャッチコピーの「ニッポンVSゴジラ。」に嘘偽り一切なし。ゴジラに対する対策対応が日本的なのが印象的でした。
個人的には劇中後半の「特殊建機部隊」の存在と「在来線爆弾」という攻撃手段がツボりまして。「建機」と「在来線」という高度成長期の日本を彷彿とさせるワードに、シン・ゴジラこそ「邦画」なのだと強く感じさせられた次第です。
きっとハリウッドでこんな映画を上映したら失笑されることでしょう。この映画の良さがわかるのは日本人だけです。それほどまでに日本的。どうしようもなく日本的なのが「シン・ゴジラ」という映画でした。
そして予期せぬ瞬電
私がシン・ゴジラを見ている最中は、外が大荒れの天候だったようで、クライマックスの一番良いシーン手前で瞬電(瞬間停電)で映画が中断してしまいまして。20分ぐらい映画が中断してしまったんです。
大手シネコンで瞬電で映画中断なんて信じられますか(苦笑)?映画館ってUPS(無停電電源装置)ぐらい備えているものだと勝手に思ってましたが。
再開後は10分ぐらい映画を巻き戻し上映したのですが、なんせ中断したのがクライマックスの良シーンのところだっただけに、あの名演説を2回も見るハメになったり、特殊建機部隊の行く末を二度も見守ることになってしまいました。
その後、この事態のお詫びとして無料券を配布してもらったのでそれで見たのが「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」というわけです。
壁は越えられなかった。インデペンデンス・デイ:リサージェンス
前作「インデペンデンス・デイ」に感動した人は多いのではないでしょうか。私もその一人で前作は一番好きな映画の「アルマゲドン」に並ぶほど好きな映画です。
が、続編のこの映画は私たち以外に観客が誰もいないという劇場貸切状態の異様さでした。上映開始からしばらく経つとはいえこの光景はいかがなものかと・・・その理由は上映開始5分でわかりました。
人類の技術レベルが「現代」でなくなってしまったんです。設定としては「前作のエイリアン達の技術を取り込んで急速に技術革新が行われた」ということらしいですが、ハリアーでもオスプレイでもない未来型の垂直離着陸機を見せられた時のガッカリ感といったらもう・・・。
そんなのはスターウォーズや宇宙戦争にでもやらせておけばいいんですよ。私がインデペンデンス・デイ:リサージェンスに期待したのは「圧倒的な技術や知識レベルの違いをどう克服し立ち向かうのか」という前作の良さを引き継いだものでした。
確かに一度でも地球外生命体の襲来を受けたなら対抗策を用意しておくだろうという考察は正しいと思いますが、たった20年の歳月で前作の良さを残らず駆逐した別の映画になるほど進化してはいけない。戦闘機は未だ滑走路から飛び立つか、空母のカタパルトから発進するという、我々が知りうる現代的な手段で良かったのです。
前作は武器も現代兵器ばかりだったので私たち観客が地球側とエイリアン側との戦力差を推し量ることが容易でしたが、本作では人類が月に基地を作るまでに革新が進みすぎてエイリアン側とどれほどの戦力差があるのかまったく把握できない。
劇中のどんなに危機的な状況でも、次のシーンで「実は20年間ひそかに開発してましたー」といいながら超威力を誇る地球側の最終兵器が飛び出してくるかもしれないのです。私はいつそんなモノが飛び出してくるのかとヒヤヒヤしながら観ているような有様で感情移入なんてほど遠い状況でした。
個人的には様々な事情をふまえてそういった設定を採らざるを得なかった制作チームの苦悩に想いを馳せながら観るのはある意味では楽しくもありましたが。
今回、たまたま観た現在公開中のこの二本でオススメできるのは間違いなく「シン・ゴジラ」です。「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」はDVDかテレビでやるのを待って観れば十分でしょう。
ぜひ映画館の大きなスクリーンで「シン・ゴジラ」を観て「邦画」の良さを感じてみてください。