逆境や苦境に立たされた時に役立つ「歴史上の偉人や有名人達のピンチの解決法」を読みやすいクイズ形式で紹介した本です。
セレンディピティ
「できっこない」とあきらめないで、本気で悩んでいると、神様は思わぬギフトをくれるものです。この時は、高野さんたちが悩んでいる最中に、たまたま、その日が勤務日だった退役軍人のドアマンが、たまたま、その場にやってきて、たまたま、会話を耳にする……というのが、神様からのギフトですね。正に、セレンディピティ(=答えを探している人にだけ訪れる偶然の幸福)
「セレンディピティ」という言葉を、このエピソードで初めて知りました。Wikipediaによると「素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。」だそうです。
このエピソードは、ホテル「リッツカールトン」のスタッフが無理難題をゲストからお願いされるというものなのですが、何か打つ手はないかと試行錯誤した末に「セレンディピティ」によって見事に難題を解決するに至ったというお話です。
諦めなければなんとかなる、というのは解決策というには今日では古典的でチープに聞こえてしまうかもしれませんが、諦めない姿勢こそが「セレンディピティ」を誘い込む唯一の方法なんでしょうね。
災い転じて福となす
「まあ、いっか」これ、ちょっとしたピンチを脱出するための「魔法の言葉」です。新潟県の銘菓『柿の種』。このお菓子はもともと長岡市にある浪花屋製菓の創業者が、小型のせんべい用の金型をうっかり踏みつぶしてしまったことから誕生しました。 歪んでしまった金型を直さずに「まあ、いっか」と使って焼かれたのがあの独特の形をしたおせんべいです。商品名は、お得意先の「柿の種に似ているねぇ」のひと言から付けられたとか。
このエピソードは、物事には良いも悪いもない、ということを表した好例ですよね。まさに災い転じて福となす、といえるエピソードではないでしょうか。
ただ、結果論として災い転じて〜ということは容易ですが、当事者として事象の発生直後に悲観することなく「まあ、いっか」といえる境地に自らを持っていけるかどうかが問題です。
普段からピンチについて心構えを作っておけば、イザというときにこういう対応が取れるようになりそうですね。
認識を変える
ピンチなんて、そのほとんどは本人がピンチだと認識した瞬間にピンチになっているだけの事。ちょっとしたピンチ(だと思った)の時は、心の中で「まあ、いっか」という「魔法の言葉」を唱えてみましょう。
結局のところ、ピンチは本人がそう捉えているだけであって、他人や長い目でみたら何でもないことだったり、むしろプラスへの転換期だったりすることは多いものです。
苦境の渦中にいる時は視野が狭くなりがちですが、こんなふうに「ピンチの時は視野が狭くなりがちだ」、ということだけでもまずは知って心構えを作っておけば、イザという時に適切な認識を持って対応できるようになるのではないでしょうか。
機を危機であり機会
中国では、「機」という字に、「危機」と「機会」という2つの意味があるのだとか。そもそも「ピンチ」と「チャンス」は同じもの、人の感じ方が違うだけなのです。
さすが5千年もの歴史のある国は、漢字一文字の意味することが的確ですね。
日本だと「機」は「チャンス」を意味することはあっても、「危機」と「機会」なんていう捉え方はしませんよね。でも言われてみれば「危機」と「機会」は表裏一体であることに気付かされます。
我々も中国に見習って、今後は「危機」も「機会」も同じことなのだという認識、心構えで事にあたるようにしましょう。
主導権を握る
『幸福論』で知られるフランスの哲学者、アランはこんな事を言っています。 「どんな仕事も、自分が支配している限りは愉快であり、自分が服従している限りは不愉快である」 「主導権を握る」とは、言ってしまえば「服従」から「支配」への転換です。
ピンチに陥った時というのは受動的な姿勢になってしまいがちですが、あえて火中の栗を拾う覚悟で主導権を握り主体的に行動することで道が拓けてくることもあるのはないでしょうか。
そもそもピンチに対して悲観的な捉え方をしてしまうというのは受動的な姿勢でいるからだと思います。
自らの主体性を発揮して行動すればピンチに対する認識も次第に改まり良き解決策が見いだせるようになるのではないでしょうか。
武器を把握して磨く
ピンチの時は、自分が持っているモノをすべて棚卸しして考えてみる。 そのためには、普段から、自分が持っているモノを把握しておく事が大切。そして、普段から、「手持ちの武器」を増やしておく事も大切です。
これは名著「7つの習慣」でも最後の習慣として有名な「刃を研ぐ」ということですね。
ピンチに陥ってからアタフタするのではなく、自分武器を知り普段から刃を研いでおくことでピンチに備え、また機会に変換できるだけの力を養っておくことが大事ということです。
ピンチの解決策、としてはちょっと反則ぎみではありますが、やはり究極的にはピンチが起こらないようにするか備えを怠らず万全な状態にしておくことが一番有効な対策といえそうです。
本書は、災害に対する「非常用持ち出し袋」のようなもので、事前に本書から知識を得ておくことで、ピンチの際に被害を最小化することができるようになる本です。もちろん、現在なんらかのピンチの渦中にいる方にとっても役立つ本です。
ビジネス書などを読書する場合はつい即効性がありそうな本を読みたくなるものですが、こういった「備えあれば憂いなし」的な知識を入れておくことも大事なのではないかと思います。
いつ起こるからわからない苦境や逆境だからこそ、平常時に読んでピンチに対する心構えをしておくことをオススメします^^