「アウトドアの洗礼」
はじめてのグランピング体験は後にそう呼ばれ、教訓となりました。
SORA GLAMPING RESORT
SORA GLAMPING RESORTは、長野県のスキー場「竜王マウンテンパーク」のグランピング施設です。
竜王マウンテンパークは、雲海展望台「ソラテラス(SORA terrace)」として知られています。
ロープウェーで標高1770mまで一気に登り、大雲海を眺める。そんな手軽さで雲海が楽しめます。
SORA GLAMPING RESORTの宿泊料金には、宿泊日と翌日、2日間のソラテラスへのロープウェー料金が含まれています。グランピングを楽しみながら雲がでてきたらすぐに山頂へ。これなら大雲海も夢ではありません。
受付:チェックイン
SORA GLAMPING RESORTに着いたら、まずは共用棟にある受付でチェックインを済ませます(チェックインは15:00から)。
受付ではジュースやお酒などの飲み物や、夕食の追加食材を買うこともできます。21:00を過ぎると受付は無人になり、買い物ができなくなるのでご注意を。
SORA GLAMPING RESORTの周辺にコンビニやスーパーはありません。ロープウェー乗り場に自動販売機がありますが、夜間は購入できなくなります。
SORA GLAMPING RESORTの施設
共用棟には受付のほか、トイレや洗面台、シャワーがあります。
トイレは天井が空いており、音が丸聞こえです。
女性専用のトイレもあります。
洗面台。使い捨て歯ブラシがそばに置いてあります。
シャワールームは4つ。24時間いつでも汗を流せました。
共用棟の外にはサウナがあります。サウナは水着着用とのこと。
簡易的な水風呂もあります。
トランポリン。子どもたちがピョンピョン飛びはねていました。
ドッグラン。地面はウッドチップ仕様です。
ロータステント
SORA GLAMPING RESORTには、ロータステントと、ドーム型テント、2種類のテントがあります。
私たちは玉ねぎ型のロータステントを借りました。
SORA GLAMPING RESORT内で、もっとも高いところにある見晴らしの良いテントです。
テント内にはベッドが3つ、ソファベッドがひとつ。
寝具がこれだけ置かれているのに狭さをまったく感じません。むしろテント内なのに開放感があります。
開放感の正体は、天井の高さでしょうか。
ポールで支えられた天井は高く、テント内であることを忘れるほどに快適です。
クーラー、冷蔵庫、ケトル、ドライヤー。
ホテルや旅館にありそうな電化製品は、ひと通りそろっています。テレビが無いくらいなものです。もちろんコンセントが使えるので、スマホやカメラの充電ができます。
テントひとつあたりの区画は広く、家族がのんびりゆったり過ごすのに十分なスペースがあります。
お隣さんとの距離はそれなりに離れていますが、上のテントから下のテント区画は丸見えです。
タープにテーブルセット、BBQグリルと焚き火台。定番のアウトドア用品は、予め用意されています。
ロータステントは鍵がありません。
ソラテラスに向かうときや、シャワーを浴びに行くときは、貴重品を持って出るか、誰かが留守番をする必要があります。
また、テント近くに水場がありません。
水を使いたい場合は、共用棟の洗面台まで行く必要があります。
ソラテラス(午後)
チェックインを済ませてテントを確認したら、ロープウェーでソラテラスに向かいます。
SORA GLAMPING RESORTの宿泊客は、チェックインで青いバンドを渡されます。このバンドを腕に巻いておけば、ロープウェーの改札を通り抜けられる仕組みです。
青いバンドはつけ外しができません。巻いたら不要になるまでずっと腕につけっぱなし。シャワーもトイレもずっと一緒です。
ロープウェーは毎時0分、20分、40分の「20分間隔」で運行しています。
このロープウェーは最大で166人を一度に運べるそうです。この日は平日ということもあって、待ち時間ゼロでスムーズに乗れました。
山頂まではわずか8分。
下りのロープウェーと交差した地点が、ちょうど中間地点です。
ソラテラスに到着。
残念ながら雲海は出ていませんでした。
ロープウェーから見たSORA GLAMPING RESORT。
ロープウェー乗り場は、SORA GLAMPING RESORTのすぐ近くあります。ホームページでは「徒歩5分」と案内されていました。
しかし実際は、傾斜のキツイ斜面を上り下りしなければならず、真夏だと汗だくになります。舗装されていないので、雨が降ると転びそうで危険です。ロープウェー乗り場へは、車で行き来するのが現実的です。
夕食:バーベキュー
ソラテラスからテントに戻ってきたら、夕食の準備です。
スタッフの方が食材や機材をセッティングし、調理の仕方を教えてくれます。
夕食のメインは、ハーブチキンとスペアリブ、そして海老のアヒージョ。
料理は味付けされているので、焼くだけで簡単に食べられます。
チーズやハム、マリネやパンが入ったディナーBOX。
夕食はいずれも美味しい料理で、満足のいくものでした。
が、実は夕食でひとつ大きな失敗をしました。
それは虫。
虫、虫、虫、虫、虫。
虫に襲撃されてしまいました。
原因はソラテラスを長く楽しみすぎたこと。
ソラテラスから地上に戻るロープウェーの最終便は19:00。私たちが最終便のひとつ前の便でソラテラスからテントに戻ってきた頃には、辺りはすっかり暗くなっていました。
すると何が起こるのか?
1. タープに電気を点けます
2. 虫が押し寄せます
3. 食材や飲み物に虫が飛び込みます
4. 虫ごと食べる覚悟をします
暗くなって電気を点けると、そこは虫の天国、人間にとっての地獄。あまりの虫の数に私たちは外で食べることを断念し、テントの中で夕食を食べました。アウトドアのようなインドア。なんともアウトドア初心者らしい失敗をしたものです。
シャワータイム
夕食の後はシャワータイム。
テント内に用意されたバスタオルを持って、共用棟のシャワールームに向かいます。
脱衣所もあります。
シャワールーム内。汗を流すには十分な広さです。
天井にはオーバーヘッドシャワー。
ボディーソープやシャンプーなどは用意されています。
このシャワーのレバー、これがなかなかのくせ者です。
押せど回せどシャワーヘッドからは何も出てきません。初見だと裸で途方にくれます。これはいったいどうしたらお湯が出てくるのか?
正解は「レバーを手前にひく」。日本の旅館やホテルで見たことがない仕様ですので、お気をつけください。
夜景・星空
夜のSORA GLAMPING RESORT。
テントからもれる光と、焚き火の灯りで、あたりは幻想的な雰囲気になります。
空を眺めれば満点の星空。肉眼でも天の川がよく見えました。
ハンモックに寝そべって見る天の川の贅沢なこと。
深夜〜早朝
真夏とはいえ山奥です。深夜から早朝にかけては冷えます。
Tシャツとハーフパンツでぎりぎり寝起きできましたが、外に出ると肌寒さを感じました。
夜中は物音がよく通ります。
犬の鳴き声、赤ちゃんの泣き声、人の話し声。
早朝。早くに目が覚めたので、あたりを散歩することに。
草木は夜露に濡れ、車の窓は寒暖差で曇っています。
夜が明けていく様子を、タイムラプス動画で撮ってみたり。
SORA GLAMPING RESORTを貫く坂。
実はこの坂、かなりの急傾斜です。
私のテントは、SORA GLAMPING RESORTで一番高いところにあったため、共用棟のトイレに行くたびに肩で息をしながら戻ってきました、はぁはぁ。さらに道が舗装されていません。サンダルだと滑ります。雨が降ったときは悪路になると思いますので、履いていく靴にはお気をつけください。
朝食:サンドイッチ・カップサラダ
朝食は冷蔵庫の中にあらかじめ用意されています。
朝ごはんは、たまごサンドとツナサンド。
カップサラダ。
ソラテラスの特製コーヒー。
ケトルでお湯を沸かしてドリップコーヒーを飲む。
グランピングならではの手軽で美味しい朝食でした。
ソラテラス(午前)
9:00のロープウェー開始時刻を待って、SORA GLAMPING RESORTをチェックアウト(チェックアウトは10:00まで)。
2度目のソラテラスへ向かいます。
午前中のソラテラスは順光になるため、きれいな青空が見えます。
この日は雲の量が多く、雲間から青空が顔をのぞかせていました。
ひょっとしたら大雲海になるかも。
そう思って待ち続けましたが、2時間待っても雲海にはなりませんでした。残念。
終わりに
私がSORA GLAMPING RESORTを訪れたのは8月の上旬。SORA GLAMPING RESORTがオープンしてまだ一週間くらいの頃でした。
私はアウトドア初心者で、キャンプすらまともにやったことがありません。そんな私でも、グランピングならやれそう、もし機会があればやってみたい、と思っていました。ちょうどそんなことを考えていたときのことです。ソラテラスにグランピング施設が新規オープンするのを知りました。
「雲海も見れてグランピングもできるなら一石二鳥」、さっそく喜び勇んで予約しました。
しかし現実は甘くはありませんでした。
グランピングとはいえ、アウトドアの最低限の知識ぐらいは必要です。虫虫虫虫虫虫。「アウトドアでは夕食は明るいうちに食べろ」が私の遺言です。
実は虫のほかにも、コンロがうまく使えなかったり、焚き火に失敗して着火剤を追加でもらいに行ったりと、失敗に事欠きませんでした。
そして極めつけはノー雲海でフィニッシュ。ロープウェーが乗り放題、2日間の猶予があったとしても、相手は自然現象。モクモクしたかと思えば、次の瞬間にはスカッと澄み渡っている。こればかりは天に祈るほかありません。
失敗やうまくいかなかったことも、過ぎれば楽しかった思い出になります。ただ時季が違えば、薄着で特攻するような愚を犯したであろうことが容易に想像できて、我ながら肝が冷えます。懸命なあなたは大丈夫だと思います。大丈夫だと思いますが、私の経験が注意喚起になれば幸いです。
今となってはグランピングで本当に良かったと思っています。
キャンプだったら死んでたかもしれません。