常識はずれこそ道理を追求した結果 – 稼ぎたければ働くな。

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稼ぎたければ、働くな。

非常識な働き方で有名な「未来工業」の創業者、山田昭男さんの著作です。

本書を振り返ると山田さんはひたすら常識とは別の「当たり前」を追求し考えぬいた方だったのだと思います。
そしてその「当たり前」の判断基準は「人が喜ぶかどうか」にあったそうです。

「常に考える」といいながらも単純に「儲かっていない大半の企業の逆をやれ」と短絡的もみえるところもあり少し戸惑いましたが、常に考えた結果が「逆張り」になるということと理解しました。

文字で追うとセンセーショナルな見出しなどがおどる本書ですが、そのひとつひとつが山田さんや未来工業の社員たちがきちんと自分の頭で考えた結果であることを知れば納得はそう難しいものではありませんでした。

本書を読んで気がついたことを行動に落としこんでいきます。

常に考える

本書を読んで100人が同じことをいうと思いますが、やはり日常的に常識にとらわれずに物事の本質に至るまで考えぬくことが大事なのだと思いました。

山田さんは「働くな」などと過激なことを口にされることが多いので誤解を招きがちですが、決して自分達が怠けるために考えるのではなく、「人が喜ぶかどうか」について常に考えるということなのだと思います。

たとえ考えぬいた結果の理屈が通っていても誰も喜ばないのならやらない。

人は放っておいても頭で考えていると思いがちですが、それはあくまで何も方向性をもたぬままに「考えてしまっている」だけであり、ひとつこういった基準を持ち「常に考える」ことが大事ですね。

「人が喜ぶかどうか」、これを基準に日々考える癖をつけたいものです。

自分達がどうしたら喜ぶかを真剣に考える

本書中で幾度も出てくるキーワードとして「人が喜ぶかどうか」というワードがでてきます。

これはビジネスでは別段珍しい話ではないかもしれませんが、山田さんはいかに社員を喜ばせるかを考え続けた人だったと思います。

よく陥りがちなこととして、経営陣がお客さんを喜ばせるための素晴らしい計画を立てるところまで良くても、その計画の内容がプレイヤーたる社員にムリがかかるものであればお客さんを喜ばせるところまでたどり着きません。

しかし、まずは社員たちをしっかり喜ばせれば、満足した社員達はお客さんを喜ばせるために頑張ってくれます。

「人が喜ぶかどうか」の「人」にお客さんだけではなくて社員、ひいてはきちんと自分が喜ぶことを入れられるかどうかというのは大事だと思います。

とかくスタートアップのような企業は壮大な社会貢献性の高いビジョンを掲げてしまうと、自分達はともかく相手を喜ばせることに集中してしまいがちです。

瞬間的に行うことであれば、その理想に酔いしれながら行うこともできるかもしれませんが、ビジネスのように長期的な活動においては理想だけでなくきちんと自分達を喜ばせることも必要です。

逆に自分達を喜ばさせられない人間が他人を喜ばさせられるわけがないのかもしれません。

我々が小さな頃から植え付けられた道徳観にはどこか「自己犠牲」こそ最大の美徳とされてきた気がしますが、会社単位で社員が自己犠牲でビジネスを行っているなんてきいたらゾッとしますよね。

やはりビジネスとは、まず「自分」なのだと思います。
衣食満ち足りて次に誰かを喜ばすことができるようになるのです。

まずはもっと真剣に自分達がどうなると喜ぶのか、を追求すべきと感じました。
それが結果的にビジネス、ひいてはお客さんのためになる最短の手段なのだと思います。

「どうなると喜ぶ」であって「どうなると幸せ」ではいけないのかも?
幸せというのは抽象的にすぎるので「どうなると喜ぶ」のほうが捉えやすいかもしれません。

「常識はずれ」を活用する

山田さんはむしろ常識をよく知り活用することに長けている方だったのだと思います。

本書中にも「他人と違うことをすることで取材などが殺到してタダで宣伝してもらえる」という記述があります。

目立つためだけに常識にはずれるわけではありませんが、考えぬいた結果が常識と違うものであれば、むしろその事実を喜んで活用することで様々なメリットが生まれるということですね。


まとめ

ただ漠然と散漫に考えるのではなく、ひとつ「人が喜ぶかどうか」という視点をもって常に考えること。その必要性と重要性、そして必然性を認識させられた本でした。