表紙こそポップな感じのする本書ですが、内容は「読み方」の難しい本でした。
本書は会社再生を専門に行うコンサルティング会社に勤める主人公が経営の危機に瀕した老舗温泉旅館を再生する話ではなく、再建にかこつけて利益をあげることを目的として近づく第三者から守る様子をストーリータッチで描かれた作品です。
同じストーリータッチで描かれていて過去に読んで感動した三枝 匡さんの著作「V字回復の経営」のようなものを期待していましたが、「V字回復の経営」が現実感を大切に描かれているのに対し、こちらはあくまでドラマです。
詳細については避けますが、登場人物の超人的人脈設定あってこそのウルトラC的な解決なども出てくるので、こういったドラマらしいドラマ展開が受け入れられない人は読まないほうが無難かと。
しかしながら本書の読み方の難しいところは、本書の会社再生は「V字回復の経営」のような経営戦略的なことではなく、財務的な事柄を処理する過程をメインに描かれているので会社経営における財務の専門用語が連発します。
前知識として会社財務の知識が無いと読むことすら困難だと思います。
私は会社財務にそこまで詳しくありませんが、これまでの経験と簿記の知識があったおかげで何とか読めたといったところです。
ドラマらしいドラマ展開で描かれているにも関わらず、財務の前知識をかなり要してしまうため、読み方が難しいというのが率直な感想です。
加えて表紙のポップなイラストがさらにこの混沌とした状況を助長してしまっている気がします。
率直にいって読み手のターゲット設定がまったく見えなかったです。
「会社再生ガール」という抽象的なタイトルどおりの内容といえばその通りな本です。
逆説的に会社再生時における専門用語や手法を拾いたい場合などに読む目的なら最適なのかもしれませんね。