偉大なる先人が後世を生きる我々のために遺してくれた素晴らしい本でした。
本書の大筋はタイトルどおり人生計画の立て方について記されたものなのですが、単に人生計画の立て方を指南するのではなく酸いも甘いも経験した上での人間の一生について先人からのアドバイス集といった内容でした。
稲盛和夫さんの名著「生き方」に通じる部分も数多くありましたが、「生き方」が会社経営を通じての人間の在り方について説かれたものに対し、こちらは生き方ほど高尚ではなく世俗的な感じです。
大学教授であった著者の考察をまとめたものが世俗的といえるのかどうかは議論の余地のあるところですが、私には祖父から人生哲学について学んだような読後感がありました。
本書中に人生計画の確定期について「少壮」、現在の私くらいと書かれており、読んだタイミングもちょうど良かったと思います。
明治(著者の生年は慶応です!)から~昭和にかけての経験を元に記されたものなので、一部時代錯誤感がある箇所もありましたが、当時と現代の違いについて考えを巡らせればいわんとすることの根本を理解するのはそう難しくはありませんでした。
現代の読み手に易しく書かれた本の文体に慣れてしまうと、本書の文体は少し難解と感じますが、読み進めていくとこちらのほうが読みやすくなってくるから不思議。読み方もわからぬ漢字熟語の多用に最初こそ面食らうものの、字面から伝わる具体的なメッセージは、現代的文体より齟齬や誤解が発生しにくいのだと思います。
オススメできる良書です。ぜひ一度手にとってみてください。