目の前を飛んでいく「火の鳥」とよばれる7つの発光体。
自分は何を目の当たりにしているのか。
それはあまりにも不思議すぎる奇跡体験。
その一部始終を撮りました。
宝徳山稲荷大社の「火の鳥」
「火の鳥が飛ぶ? そんな馬鹿な話、フフッ」
一昨年、知人から宝徳山稲荷大社の「火の鳥」について聞いた私は、そう鼻で笑いました。だって「火の鳥」ですよ? 手塚治虫作品の話じゃないですか。
新潟県長岡市の宝徳山稲荷大社で、11月2日から3日にかけて行われる神幸祭(よまつり)。この祭りでは、日付が変わる頃になると、夜空に「火の鳥」が現れるといいます。
なんともロマンのある話ですが、神社の伝説としてはありがちな話。そんな話を真に受ける純粋さを失ったのはいつ頃でしょうか。
笑う私とは反対に、知人は真剣な面持ちを崩しません。
あくまで火の鳥はいるのだ、見れるのだ、と。
大の大人がそこまでいうのです。さすがに私も興味がわいてきます。
たとえ火の鳥なるものが見れなくとも、何かしら行ってみるだけの価値はあるのだろう。
そんな気持ちで宝徳山稲荷大社の神幸祭を訪れたのが昨年の話です。
真夜中の大渋滞の末、宝徳山稲荷大社の奥宮付近でカメラがとらえた謎の発光体。「鳥」といわれれば確かにそんなふうにも見える。けれど、この写真を根拠に「火の鳥はいます!」というのも躊躇われる不鮮明さ。誰かに見せても火の鳥と信じてもらえる気がしませんし、自分自身も確証が持てない。
昨年撮影した「火の鳥」は、どこまでも曖昧で伝説の域を抜けるものではありませんでした。
あれから1年。
1年前の神幸祭で自分が見たもの撮ったものは何だったのか。
それを確かめるために今年も宝徳山稲荷大社の神幸祭へと足を運びました。
昨年、火の鳥らしきものを目撃した宝徳山稲荷大社 奥宮の大鳥居前。火の鳥が見られる確率が最も高いとされている場所です。
大勢の「火の鳥待ち」をする人たちと共に、漆黒の夜空をながめ、その時を待ちます。
そして2019年11月2日、午後11時22分。
奇跡は起こります。
夜空を北から南へ飛んでいく7つの発光体。
それを見た群衆は大騒然。
ある者は「やったぁぁぁあぁぁ!!」と歓喜の雄叫びをあげ、またある者は「ありがとう」と感謝を何度も口にします。
「ありえる? あんなの?」
動画でそうつぶやくのは私。この状況を見てもまだ半信半疑で懐疑的な様子。論理を愛する私の脳は、異様な光景を目の当たりにして大混乱。
その後、「火の鳥」とよばれる7つの発光体は、ゆっくりと群衆の目の前を通過していき、南の空へ消えていきました。
火の鳥を見れるかもしれない。そう思って再訪し、火の鳥らしきものを見た。しかも同時に7羽も。これは再現性があるなどというものではありません。ツチノコを探しに出かけてツチノコを発見したら、ツチノコはいると証明されたことになります。
けれど、だけど……。
ついには自分の目で見たモノすら疑い始め、証明の論理ですら捻じ曲げはじめます。人智を超えた存在。そんなものがいると認めても、私はこの先の人生を真っ当に全うできるものなのでしょうか。
今年、散財して買った自慢の高性能カメラは、発光体が鳥であると認識するのに十分な画をとらえていました。
科学技術の結晶といわれ、我が日本の技術力の高さを世界に証明するカメラ産業から生まれた最新のカメラ。このSONYのカメラ、高性能すぎて異界のものまで写しちゃうのかな。
……降参です。
一昨年のあの日、鼻で笑った私をどうぞお殴りください。