「ちょうど良い」と「中途半端」って紙一重だな、と。
先月のAmazonプライムデーで購入したショルダータイプのカメラバッグ「ジェットダイスケモデル PHOTOWALK 10.0L」。
【バグ?】Amazon プライムデーでジェット・ダイスケモデルのカメラバッグが謎の激安価格で売られている話
今回は、謎にお安く買えてしまったこのカメラバッグを1ヶ月ほど使ってみた感想を書いていきます。
最初に結論をいってしまうと、このカメラバッグはとてもよく考えられたカメラバッグだと思います。
関係者の制作への熱意と、人の良さというか思いやりのようなものを感じる作りになっています。ただそれゆえに写真を撮る様々な人のことを考えすぎてしまったのかな、と。気軽に使いたいあんな人に、ちゃんと使いたいこんな人に、あんなシーンやこんなシーンにも、と考えすぎて、折衷案的に完成したバッグのように思えました。
ちょうど良くもあり、中途半端でもある。
そんなカメラバッグ「PHOTOWALK」をご紹介します。
ケンコー aosta カメラボディバッグ ジェットダイスケモデル PHOTOWALK 10.0L ブラック
というわけで今回購入したのは、カメラ用品メーカーのKenkoが昨年発売したカメラバッグ「aosta ジェットダイスケモデル PHOTOWALK 10.0L」。
このカメラバッグは、カメラ系YouTuberとして有名な「ジェットダイスケ」さんとKenkoがコラボして作ったカメラバッグです。たくさんのカメラ用品をレビューされてきたジェットダイスケさんが関わっているだけあり、このカメラバッグには写真を撮る人の思考を先回りした機能や工夫がたくさんみられます。
革命的な仕切り
これは「すごい!」と感嘆したポイントです。
このカメラバッグの中仕切りには「小物の収納ポケット」が付いているんです。これが本当に便利で革命的です。
カメラやレンズのキャップ類はもちろん、フィルターもケースに入れず裸で収納できるんです。予備のバッテリーやSDカードなども入れておけます。
私はここにリモコンとレンズペンを入れています。常に使うわけではないけれど意外に使用頻度の高いもの、をここに差し込んでおく、というわけです。わざわざファスナーを開け締めしたりせずとも必要なときにサッと取り出せるのが本当に便利です。
いやー、なんでこれまでコレがなかったのか、と思うほど画期的なアイディア。この仕切りだけを単体で販売して欲しいと心から思います。
豊富な収納エリア
このカメラバッグには「ファスナーの付いた収納エリア」が5ヶ所もあります。
カメラやレンズを入れるメイン収納。
丸形の収納エリアがバッグ側面の左右にふたつ。
メイン収納エリアにそうように設けられた深さのある収納。
そして斜めのファスナーが特徴的で、スマホや車の鍵、イヤホンなどの「カメラ用品ではないもの」を入れるのにちょうどいい前面収納。
10Lクラスのカメラバッグで、これだけファスナーが付いた収納をもったカメラバッグはこのカメラバッグだけでしょう。
レンズ交換式のカメラを使っていると、カメラとレンズだけを持ち歩く、というのは難しいもの。クリーニング用品、レンズフィルター類、予備のバッテリーやカードなどなど、とにかく持ち歩くモノの種類が多すぎるんですよね。
このカメラバッグはそれらを「種類別」に分類し、各エリアに収納しておけるのが良いところ。ひとつしかない収納内でガチャガチャと探し回る、あの煩わしさから解放してくれます。
写真を撮る人のことを本当によく理解しているなぁ、と感心しっぱなしです。
メイン容量が10Lにしては少ない
ここからは気になるところについて書いていきます。
私がこれまで愛用してきたカメラバッグ「PeakDesign エブリデイスリング 10L」の容量もこのカメラバッグ、PHOTOWALKと同じなのですが、比べてみると明らかにPHOTOWALKのほうが容量が少ないです。
どれだけ少ないかというと、エブリデイスリングのほうは、
レンズを付けたα7III + 交換レンズ2本
が余裕でいけます。これだけ入れてもまだ余裕があるので、レンズサイズによってはレンズを付けたα7III + 交換レンズ3本もいけます。
それに対し、PHOTOWALKのほうは、
レンズを付けたα7III + 交換レンズ1本
が限界です。少し隙間はあるものの、もう1本レンズを入れられるほどではなく。同じ10Lの容量とはとても思えません。
気軽なスナップとはいえ、単焦点レンズ好きの私にとってはレンズが2本しか入らないのは残念。広角・標準・望遠の3本のレンズが入れられたら完璧だったんですけどね。
謎のペットボトルホルダー
このカメラバッグの側面収納エリアには「ペットボトルホルダー」があります。
アイディアとしては面白いのですが、個人的にはこのペットボトルホルダーの必要性がよくわかりません。昨今、熱中症対策の必要性が夏になると語られますから、そういった観点から飲み物も一緒に持ち歩けるように、と考えられたのかもしれませんね。
しかしカメラ用品と水分は相性が悪いものです。気候によってはペットボトルが汗をかいてしまうこともあるでしょう。たとえ蓋をしっかり閉めていたとしても、わざわざ高価なカメラやレンズと一緒に水分を持ち歩こう、とは思えないなぁ、と。
反対側の収納エリアと同じようにメッシュの小物入れを付けてくれたら嬉しかったんですけどね。
絶対に考える人がいると思うのでやってみましたが、このペットボトルホルダーにレンズを入れることはできます(写真はSEL90M28G)。意外にも強いゴムでホールドされるので、不安定という感じでもありません(レンズのサイズによるとは思いますが)。だからといってレンズをむき出しで持ち歩くというのはどうなんでしょうね。
矛盾を抱えたショルダーベルト
このショルダーベルトに見え隠れする優しい想いが、矛盾しているように思えて泣けるんです。
このショルダーベルトは、レバーひとつで長さを変えることができるスグレモノ。しかしこの仕様はPeakDesignのエブリデイスリングも同じです。目新しいもの、というわけではありません。
本当に目新しいのはPHOTOWALKのショルダーベルトは「取り外しが可能」ということです。ショルダーベルトの付け根のアタッチメントで簡単にショルダーベルトのつけ外しが可能です。
しかし、ショルダーベルト以外に「持ち手」などが備わっていないPHOTOWALKで、なぜショルダーベルトを簡単に付けたり外したりする必要があるのか。まさか抱きかかえるようにしてカメラバッグを持ち運べ、というのも腑に落ちない話です。
不思議に思って調べてみたところ、ショルダーベルトが付け外せる理由は、「右肩にも左肩にもすぐにショルダーベルトを付け替えられるように」というものでした。
つまりこれは左利きの人などの利き腕に対応する仕様であり、長時間担いでいて肩が疲れた場合にベルトをかける肩をシフトできるように、ということだと推察します。やさしい、本当にやさしい想いが溢れている。
しかし、ショルダーベルトを反転させると、先述のペットボトルホルダーはバッグの上にきてしまうわけです。この状態が不快でないはずがない。見た目も相当おかしいです。
さらに、もし長時間バッグを担ぐことでの肩の疲労への配慮ということであれば、今度は「なぜ肩パッドを付けなかった?」という疑問がわいてきます。この点は購入前にAmazonレビューで見て気になっていたポイントでした。
私はまだそこまで長時間このバッグを担ぎ続けたことがないので気になったことはありませんが、たしかに肩パッドがないとショルダーベルトがつるつる滑ってしまうのが少し気にはなりました。
1ヶ月ほど使ってみましたが、正直なところ私の環境ではPHOTOWALKよりもエブリデイスリングのほうが合っているようです。
収納の多さや仕切りの小物入れなど、PHOTOWALKのほうが勝っている部分が多いのですが、最終的には「レンズ付きα7III + レンズ3本入る」ことが決め手になった気がします。結局のところ私にとっては基本的なカメラとレンズの収納力、容量が大事なのかな、と。
ただ、全体的に見てこのカメラバッグには好感がもてます。
「ユーザーのことを何も考えずにこうなった」
ではなく、
「ユーザーのことを考え過ぎてこうなっちゃった」
このカメラバッグの仕様ひとつひとつの裏側には、そんな開発者たちのユーザーへの想いが感じられました。ただ、いろいろ考えすぎちゃって、ちょうど良いような中途半端なような曖昧な仕様になっちゃったのかな、と。
私の環境で使うには少し小さかったようですが、良いカメラバッグだと思いますのでカメラバッグをお探しの方はチェックしてみてはいかがでしょうか。