平家の庄(揚羽 AGEHA)宿泊記ブログ 湯西川温泉

※この記事を書いたとき「平家の庄」だった旅館名は、「揚羽 AGEHA」に変わりました。

茅葺屋根、かがり火、仁王像、天狗の面。
ここは武家屋敷、それとも忍者屋敷か。

日本情緒あふれる独特な世界観がおもしろい温泉旅館に泊まってきました。

平家の庄(揚羽 AGEHA)宿泊記 湯西川温泉

平家の庄(揚羽 AGEHA)は、栃木県日光市湯西川温泉の老舗温泉旅館。

湯西川温泉は、日光の中でも山深い「奥日光」に位置し、源平合戦に敗れた平家の落人が隠れ住んだ落人伝説があります。

平家の庄(揚羽 AGEHA)は、日本らしさを感じさせる内外装や、館内に所狭しと置かれた民芸品や骨董品が話題の宿。

全国ランキングの受賞歴が多数あり、テレビや雑誌などでもよく紹介される人気の宿です。

宿の入口では、

推定樹齢1200年の平家神代杉根で作られた見応えのあるオブジェと、

体長2メートルはあろうかという狸が出迎えてくれます。怖い。

宿に一歩足を踏み入れた瞬間、日本を感じさせる民芸品や美術品にあふれた非日常空間がはじまります。

鶴の集まる雅な庭園。

米俵を載せた手押し車や鎧兜。

招き猫とシャチホコの珍しい組み合わせ。

屋根にあるはずのシャチホコを見下ろすという不思議な体験。

まさかのシーサー。

まさかの鹿威し(ししおどし)もあります。

カッコーンッ!

知らずに訪れると突然の大音量に驚かされます。

ランプだけに灯りをたよる館内は薄暗く、天井の太い梁が重厚な雰囲気を感じさせます。

フロント。というより受付というほうが正しいでしょうか。

ここでチェックインして部屋へ案内してもらいます。

艶やかな着物で彩られた客室

案内していただいたのは旧館の部屋。
古い部屋でしたが、きれいに掃除されて清潔です。

平家の庄(揚羽 AGEHA)は、新館と旧館に分かれていますが、屋内で行き来することができます。

部屋に入ってまず目を惹く、衣桁にかけられた艶やかな打ち掛け。

平家の庄では、各部屋に婚礼用の打ち掛けが飾られています。

綺麗な打ち掛けを部屋で独り占めできる贅沢。雅なり。

楽しく華やかな食事

食事は朝晩ともにビュッフェ形式。

品数は多く、好きなものを好きなだけ食べることができます。

料理は山の幸を使った郷土料理。
いずれも素朴な味わいで美味しかったです。

珍しいところでは、湯葉や鹿肉、囲炉裏では鮎の塩焼きや田甫などが火にかけられていました。

料理一品がひとつの小鉢に盛られおり、格子状に区分けされたお盆にのせていきます。

完成したお盆は自分だけのオリジナル松花堂弁当のような華やかさ。
デザインする楽しさがあって面白い趣向でした。

たくさんの料理を少しずつ食べたい人に嬉しいシステムです。

湯巡りが楽しい温泉

個人的に大満足だったのが、100%源泉かけ流しの温泉。

平家の庄(揚羽 AGEHA)は、内湯の大浴場と、24時間利用が可能な6つの貸切露天風呂があり、旅館内で湯巡りを楽しむことができます。

特筆すべきは貸切露天風呂からの景観。

すぐそばを流れる湯西川の清流と、迫り出す対岸の木々。

川のせせらぎを聞ききながら、心ゆくまで温泉を堪能することができます。
日常の喧騒どころか存在まで忘れてしまいそうです。

目を凝らすと魚が泳いでいるのが見えます。

透き通った綺麗な水の流れには、人を癒やす力があると思いませんか。

夜は川がライトアップされ、日中とはまた違った川辺の雰囲気を楽しむことができます。

貸切露天風呂は基本的には岩風呂ですが、一つひとつに異なる趣向が凝らされており、湯巡りする楽しさがあります。

打たせ湯のあるお風呂。

「龍神の湯」は、習字で使う硯のような意匠の湯船。

観音様や石灯籠が置かれていたり、ジェットバスのあるお風呂などもあります。

私の一番のお気に入りは、小さな滝のある「花筐の湯」。

滝の落ちるところは座るのにちょうどよい段差があり、滝を背中に浴びつつ眼下の清流を愛でるのはまさに至福。

心ゆくまで温泉を堪能することができました。
こんなの体の芯まで癒えてしまいます。

貸切露天風呂の利用には2,100円の追加料金がかかりますが、部屋のランクを落としてでも貸切露天風呂に入るのをオススメします。

ちなみに貸切風呂が好きな方は、渋温泉 歴史の宿 金具屋も多種多様な貸切風呂があってオススメの宿です。

日本情緒あふれる館内風景

平家の庄(揚羽 AGEHA)の館内は、日本を感じさせる古道具や古美術品が数多く展示されています。

展示物は、外国の方が見て「日本らしい」と感じそうなものが飾られている印象です。
ゆえに我々日本人が見ると雑多で無節操にみえる部分もあります。

そのような部分を面白がれる人なら、平家の庄(揚羽 AGEHA)は最高の宿となるでしょう。

平家の庄(揚羽 AGEHA)は、壁や天井、柱のひとつに至るまで、時代を感じさせるものにあふれています。

廊下のスピーカーから流れる琴や尺八の音色を聞きながら、館内を散歩するだけでも十分楽しめます。

貸切露天風呂のある中庭には、思わず写真を撮りたくなるような風景がいっぱい。小さな稲荷神社まであります。

宿泊客が入れ替わり立ち替わり写真を撮っていました。

夜の中庭はライトアップされて異世界感を感じる雰囲気になります。

日中とはまた違った趣の庭を眺めながら、貸切露天風呂の火照りをさます至福の時間。

気をつけたいところ

平家の庄(揚羽 AGEHA)は、私にとっては大満足の旅館でした。

しかし合わない方が訪れた場合、宿泊客と旅館の双方に良い結果をもたらさないと思うので、気になりそうなところについて書き残しておきます。

以下はすべて格安プランで宿泊した場合です。
価格は上がりますが、新館の宿泊プランを選ぶことで改善される部分もあります。

観光地から遠い

平家の庄(揚羽 AGEHA)は日光市にあるものの、日光東照宮から向かうと車で1時間ぐらいかかります。

途中にある鬼怒川温泉の有料道路を走って1時間。有料道路を使わなければもっと時間がかかることでしょう。

周辺観光を考えると立地はよいとはいえませんが、移動時間を覚悟してでも訪れる価値はあります。

旧館はトイレが共同

個人的には問題なかったのですが、旧館はトイレが共同です。

これはひとり一泊二食付きで5,000円という格安プランゆえのこと。
価格と内容を考えればトイレがあるだけでも十分。

とはいえ、気になる方はいらっしゃると思いますのでご注意を。

布団は煎餅布団

個人的には煎餅布団が昔懐かしく思えて、これはこれでよかったです。

普段はなかなか寝付けないのですが、貸切露天風呂の湯巡りをして疲れたのか、煎餅布団でも朝までぐっすり寝られました。

Wi-Fiの範囲が狭い

旧館はWi-Fiの電波がとどきません。ロビーでは使えます。

Wi-Fiが使えないのは痛いと思っていましたが、館内の展示物を眺めたり貸切露天風呂に入るのに忙しく、スマートフォンすらいじっている暇がありませんでした。

お仕事で必要な方などは注意が必要です。

子供には向かない

家族連れで宿泊される方もいらっしゃいましたが、平家の庄に子供は合わないと思います。

展示品は子供には怖く感じられるものが多く、素朴な郷土料理が子供にとっては味気ないものに感じられるでしょう。
貸切露天風呂は大人ふたりでちょうどよいサイズ感です。湯巡りの楽しさを子供が理解するのは難しいかもしれません。


平家の庄(揚羽 AGEHA)は「大人のテーマパーク」といえそうな楽しい温泉旅館でした。

打ち掛けに彩られたお部屋
自分でデザインする楽しさがある食事
景観と温泉を堪能できる貸切露天風呂
日本らしい古道具や古美術品の数々

素晴らしい温泉に胡座をかかず、限られた予算で宿泊客に楽しんでもらおうとする姿勢がうかがえます。

一泊数十万円もする高級ホテルとは反対側の贅沢が平家の庄(揚羽 AGEHA)にはあります。
それは格安にして格別の贅沢。

この記事を見て、自分に合うかも!と思われた方は平家の庄(揚羽 AGEHA)に行ってみてはいかがでしょうか。

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