文章から怒りが伝わってくる本 – 読書について 他二篇

私の人生中で読んだ本の中で最も「すごい本」になったのは間違いありません。

この本を読んだ経緯

この本についてふれる前にこの本に至った経緯を少し説明しなければなりませんね。

実は私は「本」があまり「得意」ではありません。こう表現するのが最も適切だと思います。

趣味や暇つぶしに「読書」を選択することはまずありえません。私が本を読むのはビジネス書や実用書からの情報収集手段としてであり仕事としてです。

しかも自発的なものではなく、ある人のご好意によって書棚を提供していただいているという恵まれた環境&昨今の電子書籍化で面倒がなくなったからやっと読んでいるという状況なのです。

そんな私ですから「読書の意義」についてよくわからなくなってしまうのは必然だったのだと思います。

特に読みたくはなくても、仕事についてプラス影響はあるのではないかと思って手にとってみたものの気が重く・・・趣味として読むわけではなく情報収集として読むわけですから、読んで早々に違和感を感じたとしても読書をやめる判断基準が「面白い、面白くない」ではないので一応は律儀に最後まで読んでみます。

それだけに何の知見も得られなかったと感じた時は怒り心頭です・・・私に怒る資格が無いことを自覚するくらいの常識はもってますが(笑)。

知見が得られたと感じた場合もあります。
が、逆に「知らなければ良かった」こととのトレードオフであり、つまり読んでも読まなくても同じなのではないかということなのです。

読んでも読まなくても同じならば読書に費やしている時間がもったいないわけで・・・といった感じで思考の迷路にどっぷりとハマっていました。

読書についてまったく意義を見いだせなくなってしまったんですね。

人を殺せる本

そんな状況の私が提供いただいている本棚でふと発見したのが今回の問題の書「読書について」。

タイトルから今の自分にぴったりなのではないかと察した私は意気揚々と読書の意義を求めて当書を開いてしまったのです・・・まさか「読書について」書かれた本が最大の読書体験になるとは露ほども思わずに。

結論からいうとこの本は生半可な気持ちで開いては絶対にいけません。

本書を読んだ感想を一言で表すと「著者も読者も学者も糞野郎どもばかりだから本なんてロクなもんになるわけねーだろ!読むほうも書くほうもイカレてるし救いがない」という一言(笑)。

この本がすごいのはその悪態のような内容を緻密な論理展開とさすが批判するだけの圧倒的な文章力で書かれているところです。

一切の隙の無い緻密な論理展開はもはや読者を「共感」させることを目的とせず「論破」してしまいますし、言葉というツールを巧みに駆使した圧倒的な文章力がもたらす迫力はこれこそ「飛び出す本」といって差し支えありません。本を読んで3D感を感じたのは初めての体験でした。

言い方は悪いかもしれませんが、この本で指摘されている者すべての息の根を止めてやろうという気迫、怒気が文章を通じて本当に伝わってくるのです。

だからといってさすがに本から伝わる気迫では人は死にません。私がこの本を「人を殺せる本」と評すのはこの本のもつすさまじい説得力ゆえなのです。

仮に多読に人生を費やして人生の後半、そうですね、70歳ぐらいの方がこの本を読んだとします。

その時点で自らの多読習慣に相当強固な意義意味をもった持論をお持ちでない状態でこの本を手にとってしまうと、この本の説得力で論破されてしまい、いかに自分が多読によって人生を浪費してしまったかを知り世を儚んでそういった行動に至る衝動をこの本から得てしまうのではないかと。それぐらいのポテンシャルのある本だと私は思います。

現代のビジネスマンは多読がもてはやされがちですし、子どもにも読書を薦めがちですが、ポリシーの無い多読習慣をお持ちの方はこの本によって息の根を止められてしまいます。


勘違いしてほしくないのは決して読書が無駄と著者は書いているわけではありませんし、人を殺してくれようという内容でもないのですが、生半可な気持ちで読むと大火傷する本ということです。

読書についての意義意味を求めるという行為は決して気軽さなどそこにはなく相当な覚悟をもって挑まなければならないと肝に銘じました。

個人的に良書認定できますが、人に薦められるかと問われると頭をひねらずにはいられない、そんな本です。

読書の可能性についてよりも、文章の可能性を思い知らされた本でした。

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